研究課題
われわれは、大腸癌術後再発をきたした症例の血漿中ctDNAで検出されるクローンは、転移巣と原発巣の変異頻度が同等であることをを示していた。当初、ctDNAのクローナリティそのものの評価が悪性度診断に可能と考えていたが、実際は臨床的には意味がないことをあきらかにした(Nagayama S. et al. Sci Rep 2022)。この研究成果をうけて、研究の方向性を、より先鋭的な方向へとシフトした。われわれは全ゲノムの遺伝子発現制御領域 (エンハンサー領域/プロモーター領域)に注目している。すなわち、個々の症例に応じたゲノム変異を個別に検出する方法ではなく、癌腫毎に異なるエピゲノム制御領域に注目し、癌種間において普遍的にオープンクロマチンとなり循環血液中に存在するゲノム領域を補足する。癌細胞はゲノムにおいて特徴的な構造としてG4構造が高頻度に存在する。このG4構造の対側は短い(50bp程度)一本鎖アレルの構造をとっており、特に遺伝子発現制御領域を反映していることが報告されている。すなわち、この循環血液中の短い一本鎖の断片をシーケンスすることによって、「担癌状態の有無」「癌種」「悪性度」などが予測できる可能性がある。われわれは、血液中のクローン診断よりも、より早期に検出ができて精度が高い可能性のある一本鎖DNAに注目して解析を進めている。現在、大腸癌と同様に肺癌症例で原発巣切除前後の血漿中cfDNAの一本鎖DNAを解析したところ、肺癌のプロモーター領域を検出した。cfDNAから効率的に一本鎖DNAをsequenceできる新技術(TACS-TOPO法)を用いて癌における血中の短い一本鎖DNAプロファイルを作成し、新規診断マーカーの開発、治療標的遺伝子の検出を目指す。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 5件)
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