最近、申請者らは、イベルメクチン(IVM)によるWntシグナル阻害作用が、mTOR複合体の構成因子の1つであるTELO2への結合を介することを見出した。これは、新たな機序で作用するがん治療戦略として魅力的であるが、IVMの過量投与は抑制性神経伝達物質受容体への結合を介して中枢神経抑制を起こす。 本研究では「IVMの誘導体化によって、Wntシグナル阻害作用の増強と中枢神経抑制作用の軽減を両立できる。」という仮説をたて、TELO2を介したWntシグナル阻害薬のリード化合物の創成を試みた。その結果、IVMの中枢抑制作用に関わる構造を除去した新規Wnt阻害剤を創成した。
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