研究課題/領域番号 |
21K07194
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
荒金 尚子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (20321846)
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研究分担者 |
佐藤 明美 佐賀大学, 医学部, 助教 (20568357)
中島 千穂 佐賀大学, 医学部, 助教 (40858502)
中村 朝美 佐賀大学, 医学部, 助教 (90457490)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | がんゲノム / 病的意義不明変異 |
研究実績の概要 |
1.がんゲノム情報収集:臨床像として、放射線学的解析(CT、PET)、腫瘍マーカー、病理像のデータベース作成を行った。がんゲノム検査結果をがんゲノム情報サイト(ClinVar, COSMIC, OncoKB)に照らし、臨床的意義のあるvariantとVariants of unknown significance (VUS)の確認を行い、ゲノム情報を加えた総合的肺癌患者データベースを構築した。全がん種で142例、うち肺癌は75例集積した。 2.in silicoでのVUSの病原性予測:VUS解析システムの構築のため、原発不明がん症例について解析した。高いアリル頻度を持ち、既存のin silico病原性予測ツール(SIFT, PolyPhen2, PROVEAN)で病原性の可能性が高く、かつ国内外のデータベースの報告のないvariantを抽出した。 3.VUS遺伝子導入、コピー数増加による生物学的解析:2で抽出したvariantをCRISPR/Cas9を用いて肺癌細胞株に遺伝子導入し、高発現株を樹立し、細胞増殖、細胞浸潤を測定し、浸潤能の亢進を確認した。Molecular dynamicsシュミレーションによる機能解析を行った。 4.患者腫瘍組織採取とPatient-derived xenograft (PDX) 樹立:院内倫理審査委員会で承認を得たのち、上記の原発不明がん症例の組織を用いてPDXを樹立した。免疫不全マウスモデル(BRJマウス;BALB/c Rag-2/Jak3 二重欠損マウス)に皮下移植しPDXの系を作成した。VUSを遺伝子導入した細胞株と合わせ、現在本動物モデルで薬効解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定取り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1.がんゲノム情報収集の継続:臨床像として、放射線学的解析(CT、PET)、腫瘍マーカー、病理像を含むがんゲノムデータベース作成を継続する。 2.in silico VUSの病原性予測、VUS遺伝子導入による生物学的解析の発展:原発不明がん症例ゲノム結果を用いたVUS解析システムを構築したため、他のVUSについても解析を行う。in silico病原性予測ツールでスクリーニングの後、CRISPR/Cas9を用いて遺伝子導入細胞、及び動物モデルの病原性確認を行う。 3.VUSの推奨薬剤効果:VUSの生物活性を元に推奨薬剤の候補を挙げ、細胞株を用いて薬効確認する。また、樹立したPatient-derived xenograft (PDX)を用いて薬効確認を行い、推奨薬剤を絞り込む。 4.候補薬剤のヒトへの投与:適用外薬については、院内未承認倫理委員会へ承認申請し、患者さんへの説明、同意が得られれば投薬する。また、その効果について評価し、上記のin vitro, in vivoの結果と照会する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染が世界中に広まったことにより、海外はもとより国内学会の参加も出来なくなったため、出張旅費の支出がなくなった。この分を来年度に回した。
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