研究課題
ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫 (ALCL)はCHOP療法が高率に奏効し、約80%の症例で長期生存が得られる。しかし実診療では治療抵抗性を示し非常に難渋する症例が経験される。我々は大量化学療法+自己末梢血造血幹細胞移植や同種移植にも不応で不幸な転帰をとった複数の治療抵抗性の自験例でTP53欠失を共通して認めた。その経験からALK陽性ALCL症例におけるTP53の臨床的影響を多施設共同研究を計画した。現在、6施設での共同研究を行なっており、本年度は症例の集積を中心に行った。また一部の症例ではFISH検査によるTP53欠失の有無を評価している。また免疫染色や可溶性IL-2レセプター、予後分類など日常診療で評価されるマーカーとTP53欠失の相関があるかも検討している。次年度以降ではFISH検査によるTP53欠失解析に加えて、Oncoscanによるcopy number change解析も予定している。これらの解析結果を臨床情報と総合して評価を行い、ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫におけるTP53欠失の臨床的意義を明らかにする。本研究により診断時におけるALK陽性ALCLの治療反応性を予想できるようになれば、近年臨床で使用されるようになったALK阻害薬の積極的適応など治療戦略に大きな影響を与えることが期待される。
2: おおむね順調に進展している
多施設共同研究として参加施設が増えており、検体数も順調に確保できている。次年度以降では検体の解析を進め、論文作成の準備を進める予定である。
現在症例の蓄積をおこなっている。次年度以降ではFISH検査によるTP53欠失解析、Oncoscanによるcopy number change解析も予定している。これらの解析結果を臨床情報と総合して評価を行い、ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫におけるTP53欠失の臨床的意義を明らかにする。
本年度は症例蓄積及び検体集積が中心的な活動であった。コロナウイルス感染症の影響もあり、各施設との連携に影響があったため、検体集積に時間を要した。そのため本年度は検体の遺伝子解析を行う割合が少なく、来年度以降で行なっていく方針となった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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