研究課題
初年度は、TGFbが、細胞傷害性T細胞(CTL)の増殖能、サイトカイン産生能及び傷害活性を直接低下させること、TGFb受容体阻害剤(SB525334)によって阻害されることが明らかとなり、さらに、腫瘍組織(口腔扁平上皮癌)浸潤末端に選択的にTGFbぼ発現がRNAScopeによって認められた。また、TGFbの発現とCD8+T細胞/Treg比と逆相関する興味深い知見も得られた。昨年度は、抗原刺激に伴い、細胞傷害性T細胞(CTL) 上にモガムリズマブの標的分子であるCCR4が発現するため、制御性T細胞(Treg)の他にも肝心のCTLも同時に除去されてしまうことが示された。またCTL上CCR4の発現はトラメチニブ(MEK阻害剤)で抑制されることが明らかとなり、モガムリズマブによるTreg除去療法において、トラメチニブとの併用が有効である可能性が示された。最終年度においては、アジレント社遺伝子発現マイクロアレイを用いたTGFb刺激前後におけるCTL遺伝子発現プロファイルの比較から、TGFbによるCTL機能抑制や、CCR4発現に関わるキー分子を探索することを試みた。免疫に関わる分子を中心に、発現比較を行った。様々な分子において発現パターンに差が見られ、多くの遺伝子が動いていることが明らかで、今後さらなる詳細な解析により、TGFbによるCTL機能の抑制機序を明らかとすることにより、TGFbがリッチに存在する腫瘍内免疫抑制環境のなかでも、CTL機能を活性化させることのできる標的分子の探索と、治療応用に向けた検討を継続したい。また、活性化CTL上に発現するCCR4の発現機序については、T細胞受容体からのシグナルとTGFbによるシグナルが必須であり、両シグナルからの接点となる分子が重要と考え、さらに検討する予定である。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Pathology International
巻: - ページ: -
International Journal of Medicine
巻: 24 ページ: 1722
10.3390/ijms24021722.
Journal of Personalized Medicine
巻: 13 ページ: 1174
10.3390/jpm13071174.