研究課題/領域番号 |
21K07209
|
研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
研究代表者 |
星野 大輔 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 部長代理 (30571434)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | オルガノイド / 未分化癌 / シングルセル培養 |
研究実績の概要 |
がん治療を困難にしている原因として腫瘍内不均一性があげられる。これまでに、臨床検体を用いた病理学的解析と遺伝学的解析により腫瘍内不均一性の理解が深まってきたが、その生物学的特性にまで踏み込んだ研究は多くない。この原因として、腫瘍組織と同程度の腫瘍内不均一性を保持した培養細胞株の欠如があげられる。 これらの問題点を解決するため、申請者は難治・希少がんを対象とした、患者由来オルガノイドライブラリーの構築を行なってきた。そこで本研究では、最初に、申請者が樹立した難治がん患者由来オルガノイド培養株を基軸として、シングルセルオルガノイド培養株を樹立することを目的とした。 2021 年度は、これまでに樹立した甲状腺未分化癌オルガノイドを用いて、限界希釈して 96 ウエルでオルガノイド培養した。翌日、顕微鏡下でシングルセルとなっているウエルに印をつけ、印のあるウエルの拡大培養を試みた。各株、10 クローン以上取得できた。 甲状腺未分化癌は、非常にヘテロジェナイェティーが高いことが病理像より知られているが、形態変化と生物学的特性の関係性が不明である。そこで、シングルセル化したクローンを用いて、細胞増殖時における増殖因子の要求性などを調べたところ、各クローン間で性質が異なることが明らかになった。 2022 年度は、これらの増殖因子要求性とK-Ras 遺伝子変異が相関することを見出した。 また、様々な抗がん剤御応答性を各シングルクローンを用いて評価したところ、様々な結果が得られたが、K-Ras 遺伝子変異との相関はみられなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はマトリゲルの入手困難に直面し、研究が遅れていたが2022年度はそれが解消されたため、おおむね予定通り研究を遂行することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までに、各シングルクローンの生物学的特徴を評価できたので、今年度は、各シングルクローンを、再度一つにまとめて、元の株と同じ生物学的特徴を示すかを評価することで、シングルクローン化の物理的影響の排除を試みる。 また、K-Ras 変異では説明できない、生物学的特徴に関して、RNA seq を実施することで、原因探索を試みる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は概ね予定通り研究が遂行し、予定通りの支出を行った。2022年度の研究結果から、2023年度に遺伝子解析の必要性が生じたため一部研究計画の変更した。その結果、次年度使用額が生じた。
|