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2021 年度 実施状況報告書

前立腺癌診断に向けたDNAメチル化を標的とするリキッドバイオプシー技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K07211
研究機関東北大学

研究代表者

福重 真一  東北大学, 医学系研究科, 特任教授 (90192723)

研究分担者 三塚 浩二  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80568171)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード癌 / ゲノム / 遺伝子 / 前立腺癌 / DNAメチル化 / リキッドバイオプシー / qMSP
研究実績の概要

本研究では、1) 前立腺癌における4種の高メチル化遺伝子(PYCARD、ZNF750、SLC30A2、IRX1)の腫瘍形成における役割を解明すること、2)これら4種のDNAメチル化を標的とするリキッドバイオプシー技術を開発し、前立腺癌の早期診断への可能性や予後との関連を調べることを目的とした。
本年度は、まず、3種の前立腺癌細胞株(DU 145、LNCaP、PC-3)に4種の遺伝子(PYCARD、ZNF750、SLC30A2、IRX1)の発現ベクターを導入し、コロニー形成能を調べた。その結果、4種すべての遺伝子でいずれの前立腺癌細胞株でもコロニー形成が抑制された。次に、LNCaP前立腺癌細胞株にTet遺伝子発現誘導系を導入し、PYCARD、ZNF750、IRX1遺伝子をそれぞれ発現誘導したところ、いずれも細胞増殖が抑制された。一方、正常前立腺細胞株RWPE-1を用いZNF750、IRX1、SLC30A2遺伝子のノックダウンをしたところ、siZNF750、siSLC30A2では細胞増殖が亢進した。これらの結果は、ZNF750、SLC30A2の発現が前立腺細胞の増殖に関わっていることを示唆した。
また、ホルマリン固定、パラフィン包埋した前立腺癌手術標本48症例からマイクロダイセクションにより正常部と腫瘍部を分取し、DNAを抽出後、qMSP(定量メチル化特異的PCR)により正常部と腫瘍部におけるPYCARD、ZNF750、IRX1遺伝子のプロモーター領域のメチル化を検討した。その結果、PYCARDで83%(40/48)、ZNF750で90%(43/48)、IRX1で71%(32/45)の症例で腫瘍においてメチル化が正常に比べ亢進していることが明らかとなった。TCGAパブリックデータでもこれら4遺伝子の前立腺癌での高メチル化、発現低下が見られ、我々のデータを支持する結果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前立腺癌手術検体のマイクロダイセクション標本を用いてPYCARD、ZNF750、IRX1遺伝子の腫瘍部における高メチル化を確認でき、前立腺細胞株を用いてZNF750、SLC30A2遺伝子の細胞増殖への関与を明らかにすることができた。また、リキッドバイオプシーのサンプル取得が着実に進んでいることから研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

ZNF750は転写因子であり、扁平上皮がんのがん抑制遺伝子として報告されている。4つの前立腺癌高メチル化遺伝子のうち、ZNF750は前立腺癌細胞株の過剰発現系では細胞増殖を抑制し、正常前立腺細胞株の遺伝子ノックダウンでは細胞増殖の亢進を示すことから、ZNF750のDNAメチル化による発現低下が前立腺癌細胞の増殖に関与していることが示唆される。したがって、ZNF750遺伝子の下流遺伝子についてさらに解析を進め、どのようなパスウェイが働いているのかを明らかにする。また、前立腺癌手術標本を用いたSLC30A2のqMSPをおこない、4遺伝子すべての前立腺癌におけるDNAメチル化頻度を明らかにする。リキッドバイオプシーに関しては、パイロットスタディとして、前立腺癌20症例、癌以外の疾患10症例の血清からcfDNAを回収し、バイサルファイト処理後、4遺伝子のqMSPによるメチル化解析をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

理由:消耗品購入に際し、キャンペーンにより若干余剰が生じたため。
使用計画:リキッドバイオプシー等で使用する消耗品に使用する予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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