研究実績の概要 |
HOPXプロモータDNAメチル化は甲状腺乳頭癌で癌特異的であり,再発予後因子であることを報告した(Oncotarget 2019).HOPXは甲状腺濾胞細胞分化と関連する遺伝子群と相関し,脱分化と関連する遺伝子群と逆相関していた.HOPXメチル化により腫瘍間質細胞に変化がみとめられており,免疫細胞との関連が示唆された. (1)まず甲状腺濾胞癌のHOPX DNAメチル化の意義について解析した.手術検体の病理診断にて甲状腺濾胞癌と確定診断された47例と,比較良性検体として濾胞腺腫32例,腺腫様結節31例を用いた.HOPXメチル化値は甲状腺濾胞癌においてやや高い傾向にはあったが,統計学的有意差はなかった. (2)根治切除を施行した甲状腺乳頭癌162例において術前リンパ球-単球比(LMR)低値は独立再発予測因子だった.LMRの構成免疫担当細胞であるリンパ球,TAM,骨髄由来抑制細胞(MDSC)をのマーカーであるCD3,CD163,CD33を用いて原発巣の免疫染色を行った.CD163+TAM動員はpN1b・術前低LMR値とともに,独立再発予測因子であった.CD163+TAM高密度群はstage II, IIIでは悪性予後を示したが,stage Iでは再発予後と関連なかった.多変量ロジスティクス相関解析でCD163+細胞の動員は低術前LMR値と正の相関を示し,術前単球分画とも正の相関を示しており,TAMのソースとしての単球分画増加と推察した. TCGAデータベースでの解析では,TAM動員と関連のあるケモカインであるCCL20,CXCL1,CXCL5が進行stageと関連していた.以上の結果は論文投稿し,major revisionで再投稿済みである. 現在 他組織型においても解析を進めており,HOPXメチル化プロファイルと組み合わせた評価も施行する予定である.
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