研究課題/領域番号 |
21K07230
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
須堯 綾 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主任技術員 (00415415)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨転移 / Wntシグナルパスウェイ / 造骨 |
研究実績の概要 |
骨転移は患者のQOLを著しく低下させるだけでなく、予後の悪化にも大きく影響している。骨転移は、前立腺がん等に多い造骨型と乳がん等に多い溶骨型に大別される。溶骨型」骨転移モデルはすでに確立されており、発生分子メカニズムの解明と治療法の開発が進み、画像診断も容易である。しかしながら、「造骨型」骨転移の発生分子メカニズムは未だ不明な点が多く、画像診断法・治療法の開発が進まない原因となっている。現在の「造骨型」骨転移イメージングでは、転移が進行しているのか、あるいは抑制に向かっているのかがわからない状態であり、両者を区別する画像診断法の開発は、臨床現場から強く求められている。我々が着目したWntシグナルパスウェイは、がんの発生等に関与し、骨吸収と骨形成への関与が報告されているが、骨転移への関与のエビデンスは存在しない。造骨型の分子メカニズムを解明し、Wntシグナルパスウェイの促進または阻害による骨転移発生パターンを高精細CTイメージングで解析し、造骨型骨転移モデルの樹立と、画像診断法・治療法の開発を目指した。 Wntファミリーメンバーは19種あり、骨代謝に関連する可能性が高いファミリーメンバーは、Wnt1、Wnt3a及びWnt5aであり、過剰発現ベクターを構築した。発現ベクターは、我々が樹立した乳がん由来の溶骨型骨転移モデル5a-D-Luc-ZsGreen細胞に導入し、ハイグロマイシン含有培地によるセレクション及びクローニングにより、安定発現株を樹立した。発現レベルをリアルタイムRT-PCRで確認し、Wnt高発現株を選択した。抗体があるメンバーは、ELISAにより分泌能も評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Wnt1、Wnt3a、Wnt5aの安定発現株を作成し、高発現株をセレクションすることができたので、当初の予定通り順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Wnt高発現株を移植して動物モデルを作成し、発光イメージング及び高精細CTを行い、造骨型骨転移の形成を診断する。また骨転移 部位をサンプリングし、病理解析を行う。 上記動物モデルでの評価を別の角度から検証し、新たな骨転移治療薬剤候補を見出すことを目的に、造骨型骨転移に関連するWntシグナルパス ウェイ上の分子を標的とした薬剤による骨転移への影響を動物モデルで評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に動物を購入する予定だったが、飼育施設の空きに余裕がなかったので購入を断念した。今年度の助成金と合わせて、動物モデルの作成のために使用する予定である。
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