本研究は、基礎研究から予測される候補バイオマーカーを臨床サンプルで非網羅的に検証する方法論を用いて信頼性の高い効果予測バイオマーカーの同定を目的とする。基礎研究においては、がん細胞パネルーインフォーマティクスを用いてMatrix metalloproteinases (MMPs) がレゴラフェニブ感受性のバイオマーカーの候補であることを確認したのちに、3種類の大腸がん細胞株のレゴラフェニブに対する感受性を確認した。感受性株ではレゴラフェニブ薬剤処理後にMMPsに属する液性因子Xレベルの増加を認めたが、耐性株ではレゴラフェニブ薬剤処理後に有意な変化を認めなかった。すでに臨床サンプルを用いて4種類のMMPs因子の血清濃度について解析を行ない、液性因子XとYがレゴラフェニブの有効性のバイオマーカーになり得ることを確認しており、これら基礎データと臨床データについて2024年の国際学会で報告した。これらの結果から、大腸がんに対してレゴラフェニブと液性因子Yに対する抗体もしくはFTD/TPIとの併用療法の可能性が示唆された。
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