研究課題/領域番号 |
21K07238
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高松 博幸 金沢大学, 融合科学系, 教授 (70401932)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | HLA / B細胞 / モノクローナル抗体 / CAR-T / 微小残存病変 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者らが確立してきた独自の方法により、抗HLA抗体を高力価に保有する複数ドナー(頻回輸血患者や経産婦)と細胞マイクロアレイ(Ozawa T and Kishi H et al. Nature Medicine, 2009)を用いて、患者血清に検出される抗HLA抗体を産生するB細胞を効率よく分離し、抗HLA-mAbsを作製することを目的とする。2021年度は、これまでに作製できていない抗HLAクラス Iモノクローナル抗体のうち、再生不良性貧血でHLAロスの可能性が考えられているHLA-A33、B54 等を認識する3種類の新規mAbsの作製に成功したため、2022年度はHLAが判明している患者血球を用いてそのmAbsの検出感度、特異度を検討した。その結果、mAb 1クローン(22G1K1)はHLA-A33とB54の検出において感度80.4%、特異度97.1%と高い値が確認された。本mAbはヒト抗体であったため、Fc部分をマウスやラビットに変換することで非特異的な反応をさらに減らすことができる可能性がある。また、2022年度3月から抗HLA-DPアリル特異的mAbsの作製を開始したが、現状ではまだ作製できていない。今後はドナーを変える、ファージディスプレイ法を用いるなどで作製を達成したい。抗HLAーDP mAbsとCAR-T細胞は、腫瘍に対する 新規の抗HLA-DP免疫療法となる。また、抗HLAクラス1、2抗体はHLA不一致の造血幹細胞移植後のキメリズムや微小残存病変解析の診断薬として使用でき、創造性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前記したように患者由来のB細胞から新規抗HLAクラス1モノクローナル抗体を3種類作製でき、その検査試薬としての性能を確認できたが、抗HLA-DPアレル特異的モノクローナル抗体の作製は今だ成功していないため。
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今後の研究の推進方策 |
まず、できるだけ早期に抗HLA-DPアリル特異的モノクローナル抗体作製を行い、これまでに作製に成功した抗HLAクラス1モノクローナル抗体を含めて、その特異 性を培養細胞、健常者細胞、患者細胞を用いて検討する。抗HLA-DPアリル特異的モノクローナル抗体作製法については、前記した患者B細胞を使用する方法に加えて、ファージディスプレイ法など代替法を試す予定である。特異性が確認された場合には、作製した抗HLAクラス1モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリー検査を行い、HLA抗原ロスを検出することで免疫抑制療法が奏効する「免疫が関与する再生不良性貧血」の診断が可能かを検証する。また、抗HLA-DPモノクローナル抗体については、培養細胞や患者由来造血器腫瘍細胞に対する傷害能をin vitroで検証し、その有効性が確認できればHLA-DP特異的CAR-T細胞も作製する。次に、抗HLA-DPモノクローナル抗体とHLA-DP特異的なCAR-T細胞の有効性を腫瘍を播種したin vivo 動物実験で検証する。また、抗HLAクラス1、2モノクローナル抗体は、微小残存病変を検出するための検査試薬として臨床的に使用可能かも合わせて検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的にロジスティックスがうまく動いていないために物品の納品に遅れがでた。そのために、次年度使用額が生じた。
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