研究課題/領域番号 |
21K07244
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永井 英司 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (30264021)
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研究分担者 |
進藤 幸治 九州大学, 大学病院, 助教 (00788432)
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40611281)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胃癌 / 腫瘍微小環境 / scRNA-seq / 化学療法 |
研究実績の概要 |
胃癌は癌死因の世界第3位であり、罹患率・死亡数は依然として高い。近年、免疫チェックポイント阻害薬は癌治療に革命をもたらし、切除不能・再発胃癌に対しても標準治療になった。しかし、その約60%で病勢を制御できず、胃癌の治療抵抗性の克服は重要な課題である。近年、1細胞毎の網羅的遺伝子発現解析を行うシングルセルRNAシーケシング (scRNA-seq)による腫瘍免疫微小環境 (TME)の解明が進んでおり、胃癌においても癌細胞や免疫細胞に多様性や不均一性があることが報告された。本研究は腫瘍局所に浸潤するB細胞が抗腫瘍免疫において重要な役割を果たしている可能性があるという知見から、術前化学療法(NAC)を施行した胃癌TMEに存在するB細胞のheterogenietyに着目した。 まず、当科で胃切除術を施行した胃癌症例から採取した腫瘍部と正常粘膜を対象とし、B細胞のsubsetや機能関連遺伝子をscRNA-seqを用いて評価した。その結果、B細胞には未熟性B細胞、活性化B細胞、メモリーB細胞といったheterogeneityを明らかにし、胃癌部では抗体依存性細胞障害性作用に関わる形質細胞のIgG関連遺伝子発現が正常粘膜と比較して有意に高値であった。また、胃癌と同様の上部消化管癌である食道癌の検討では、NAC施行群でNAC未施行群と比較して抗体産生関連遺伝子の発現が高値であった。現在、NAC施行胃癌症例の症例集積中であり、NAC施行によって変動するB細胞のheterogeneityや機能関連遺伝子を評価し、治療標的分子の同定を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
scRNA-seqを用いて、B細胞のheterogeneityを明らかにし、胃癌部では抗体依存性細胞障害性作用に関わる形質細胞のIgG関連遺伝子発現が正常粘膜と比較して有意に高値であることを確認できた。また、胃癌と同様の上部消化管癌である食道癌の検討では、NAC施行群でNAC未施行群と比較して抗体産生関連遺伝子の発現が高値であることを確認し、抗腫瘍免疫におけるB細胞の重要性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
NAC施行胃癌症例の集積し、scRNA-seqを用いてNAC施行によって変動するB細胞のheterogeneityや機能関連遺伝子を評価する。抗腫瘍免疫に重要な役割を果たすB細胞における責任分子を同定し、責任分子の実証実験を行うために胃癌微小環境再現マウスモデルを作成中である。このマウスモデルを用いて治療標的分子の同定、新規治療の開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画はおおむね順調に進展しており、資金を有効に使用できたため。 次年度は抗体など試薬、シングルセル受託解析の費用に使用予定である。
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