研究実績の概要 |
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)と殺細胞性抗がん剤(CTA)の併用療(ICI/CTA)、特に世界で最も広く進行期非小細胞肺癌学会で使用されるCarbopaltin, Pemetrexed, Pembrolizumab同時併用は、ICIの効果が乏しいPD-L1低発現(tumor proportion score(TPS) <50%)非小細胞肺癌(NSCLC)で、PD-L1高発現群に匹敵する高い抗腫瘍効果を示した点で画期的であり、現在の代表的な標準治療である。同様のICI/CTAは、今や胃がん、食道がん、胆管がん、乳がんの一部などでも有効性が確認されており、CTAが極めて優良な抗腫瘍免疫免疫調整薬であることは明らかである。しかし、この機序に関する研究は大変限られる。これらの機序の解明は新しいICI併用療法の標的発見にもつながりうるものであり、期待される。
本研究ではICI/CTA同時併用による免疫調整機序の解明を目的として、進行期NSCLCを対象とした前向き観察研究登録例の血清サイトカ イン解析(Day0, 2-4, 6-8, 6w)、組織CD24/CD47発現解析及び末梢血単核球細胞(PBMC)を用いたSingle cell RNA解析(Day 0, 6w)を行うことを計画した。 2019年11月から2022年2月にCarbopaltin, Pemetrexed, Pembrolizumab同時併用例は32例登録され、順調と考える。但しPBMCは2021年8月に研究計画書変更を変更してから新たに収集したため、5例に留まる。さらに、これらのうち腫瘍PD-L1高発現は1例のみであった。本研究では高発現、低発現3例ずつを解析し比較する計画であり、背景差を考えると5例ずつ以上の収集が望ましい。このため、解析の実施は予定よりやや遅れる見込みである。
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