研究実績の概要 |
本研究はCDKN2A遺伝子のバリアントを作成し、機能評価系を構築しがんゲノム医療における意義不明バリアントの解釈に役立つ情報を集積することにある。健常人のリンパ球からmRNAを抽出し、RT-PCRにより増幅したCDKN2A cDNAをベクターに組み込み、サンガーシークエンスにて、配列を確認するした。増幅した断片をBamHIとNotIにより切断し、ヒト細胞株用のCMVベクターであるpcDNA3.1に挿入した。サンガーシークエンスは外部委託により行い正常配列であることを確認した。そのフラグメントを, 出芽酵母用のpRS315, ヒト細胞株用のエピソーマルベクターであるpCAGs-MCSに移した。部位特異的バリアント導入は出芽酵母の細胞内で行い、実際の機能評価は細胞株でエピソーマルプラスミドを用いて行う。部位特異的バリアント導入のためには、ギャップベクターが必要であり、インバースPCRのためのプライマーを合成し、5’側、3’側を25bp程度残してcDNAの中心部分ほとんどを欠失したギャップベクターを作成した。ClinVarに登録されているCDKN2A cDNAのミスセンスバリアントは約600種類あったが、乳癌において報告されている15種類を優先して作成することとし、バリアントプライマーを発注し、PCR, メガプライマー精製、セカンドPCR, ギャップリペアー、酵母ミニプレップ、大腸菌ミニプレップ、サンガーシークエンスの手順で部位特異的バリアント導入を進めている。細胞株を用いた機能診断系の構築が最も重要な部分であるがRBのリン酸化状態やE2Fによる転写活性などを指標としたシステムの確立を試みている。
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