研究課題/領域番号 |
21K07263
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
松坂 義哉 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (30312557)
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研究分担者 |
虫明 元 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80219849)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 前頭前野 / ニューロン / 行動戦術 / 意思決定 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
(1)我々の日常生活では、様々な意思決定をしなければならないが、多くの場合、その意思決定則は上位の規則が下位の規則を拘束する階層的な構造をとっている (例. 憲法>法律>条令)。霊長類の前頭前野は柔軟な意思決定則の使い分けによる目標指向的な行動の計画・実現(実行機能)にかかわることが知られている。さらに前頭前野の前部・後部の間の神経線維連絡関係からは、両者の間に階層的な機能分担が存在することが予想される。そこで前頭前野前部・後部それぞれの階層的な意思決定則への関与、および高次の抽象的な意思決定側から具体的なアクションへの変換を行う神経回路レベルの仕組みを調べることを目的に、行動の決定則(行動戦術, tactics)および行動戦術の決定則の使い分けを伴う行動課題を遂行するよう2頭のニホンザルを訓練している(現時点ではまだ訓練途中)。 (2)動物の訓練と並行して、過去の研究で得られたデータから機械学習によって機能的に関連するニューロン集団を同定する解析をおこなった。当該分野では個々のニューロンについて得られる情報量が増大するに伴って従来の統計モデルに基づく解析手法が限界を迎えつつある。動作のタイミングコントロールに関わる神経活動(Mita et al Nat-Neurosci 12: 502-7, 2009)、行動戦術と動作の選択に関わるニューロン活動(Awan et al doi: 10.3389/fnsys.2020.536246; Matsuzaka et al J-Neurosci 36:5974-87, 2016)を再解析した結果、従来の解析方法では検出されなかったニューロンの機能集団の存在や、機能的に同一とされていたニューロン集団の中に様々な差異を持つ集団の存在が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機械学習によるニューロン活動の解析は予想以上の結果が得られたが、一方で動物実験の進行に遅れがみられるため。
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今後の研究の推進方策 |
動物の訓練を進め、生理学実験開始を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、実験動物(ニホンザル)をナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)より3頭購入する予定であったが、希望する条件に合う個体がなく、2頭しか購入できなかった。適当な個体が購入可能になり次第、購入申請する。
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