| 研究実績の概要 |
本研究では、前頭前野と皮質下領域をむすぶ神経経路が担う高次脳機能における役割、すなわち、特定経路の機能阻害が下流領域や広域ネットワークにおける情報処理、ひいてはどの高次脳機能に影響を与えるか？の問いに答えるため、霊長類の前頭前野背外側部-線条体、および前頭前野背外側-視床MD核の２つの神経経路が高次脳機能の実現において担う役割を、行動・局所回路・広域ネットワークのレベルで明らかにすることを目指し、後述する技術開発を含む行動実験を行った。
２年次には、前年までに行っていた前頭前野と皮質下領域をむすぶ各経路の機能阻害をより簡便かつ長期的に行うための技術開発などを行った。具体的には、DREADDアゴニストの経口投与法による、化学遺伝学的長期間脳機能操作法の確立に取り組み、その成果を神経科学における著名な国際紙（The Journal of Neuroscience誌)に論文として発表した（後述、Oyama et al., 2022a, The Journal of Neuroscience）。
また、これまでに得られた成果や確立した経路選択的操作技術を応用し、前頭前野と線条体を結ぶネットワークが報酬の獲得行動において、モチベーションの維持や価値計算などに果たす役割を明らかにし、その成果を国際紙（The Journal of Neuroscience誌)に論文として発表した（後述、Oyama et al., 2022b, The Journal of Neuroscience）。
それに加え、最終年度で行う広域ネットワーク解析をするための行動学的予備実験などを行い、前頭前野や視床を中心としたネットワークの機能解明につながる結果を得られた。
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