• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

ALS病因タンパク質FUSの多量体化機構及び病態形成に与える役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K07270
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

橋本 唯史  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第四部, 部長 (30334337)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭葉変性症 / FUS
研究実績の概要

本研究では、FUSが多量体化して病態形成に与える影響を解明するため、特に以下の3点について研究を行っている。
①FUSの段階的多量体化機構の分子機序解明
②FUSの多量体化が封入体形成、及び神経細胞間伝播に与える役割の解明
③FUSの多量体化がFUSによる神経毒性に与える役割の解明
本年度は①、②について、まずallS、あるいはCK1 delta/epsilonによるリン酸化によってFUSのTBS可溶性が上昇し、高塩緩衝液によって抽出されるFUSの程度が減少することを見出した。ショウジョウバエモデルにおいて、これらはいずれも毒性を軽減することから、FUSと可溶性喪失と神経毒性には連関があることが示唆された。さらに、前年度見出したFUSのアルギニン脱メチル化はFUSの可溶性を低下させたことから、生化学的に可溶性を失ったFUSは多量体化し、細胞間を伝播する可能性が示唆された。また、本年度新たにCyr2タグを用いて青色光依存的なFUS凝集実験系を作出するに至った。③について、ショウジョウバエモデルを用いてCK1delta/epsilonによるFUSのリン酸化を軽減するが、CK1alphaによっては軽減しないことを見出し、論文として発表した (Kishino Y, J Biol Chem, 2022)。さらにAAV9を用いて脊髄運動ニューロンにALS病因タンパク質TDP-43、FUSを発現する実験系を作出した。TDP-43の発現により、rota-rod試験で協調運動機能が低下することを見出しつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の3つの柱それぞれについて、①研究は、FUSの重合体形成と生化学的性質を結びつけることに成功した。また本研究の遂行にかかせないCry2タグ実験系を確立することにも成功し、最終年度に重合体形成に関わる因子の同定が期待され、おおむね順調に進展している。②研究について神経細胞間伝播に関する検討が概ね完了し、現在論文投稿準備中であり、当初の計画以上に進んでいる。③研究についてAAV発現実験系の作出には成功したが、未だ重合体形成の関与が関与するか明らかではなく、やや遅れている。しかし①の検討から生化学的解析法を確立したことから、最終年度に挽回が可能である。これらから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

研究の3つの柱それぞれについて、①研究では、生化学的性質、青色光誘導実験、PLA法を組み合わせ、さらにタンパク質化学的解析も行うことで、多量体形成の分子機序を解明する。②研究では、FUSの神経細胞間伝播に関する知見を論文化する。③研究では、作出したAAV9発現系を生化学的・免疫組織化学的解析を行うとおともに、①の成果から得られた多量体化欠失モデルを用いて毒性との関係を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

物品費の使用が予定より7,113円少なかったが、次年度の培養細胞を用いた研究に使用予定である

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] IMB Mainz(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      IMB Mainz
  • [国際共同研究] The University of Sheffield(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      The University of Sheffield
  • [雑誌論文] Casein kinase 1δ/ε phosphorylates fused in sarcoma (FUS) and ameliorates FUS-mediated neurodegeneration2022

    • 著者名/発表者名
      Kishino Yuya、Matsukawa Koji、Matsumoto Taisei、Miyazaki Ryota、Wakabayashi Tomoko、Nonaka Takashi、Kametani Fuyuki、Hasegawa Masato、Hashimoto Tadafumi、Iwatsubo Takeshi
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 298 ページ: 102191~102191

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2022.102191

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Detection of seed-competent, high-molecular-weight Abeta oligomers in the cerebrovasculature in Alzheimer’s disease2022

    • 著者名/発表者名
      Tadafumi Hashimoto, Hirokazu Uchigami, Mayu Kashiwagi-Hakozaki, Tomoyasu Matsubara, Shigeo Murayama, Yuko Saito, Tatsushi Toda, Takeshi Iwatsubo
    • 学会等名
      Neuroscience2022
    • 国際学会
  • [学会発表] Casein kinase 1delta/epsilonがFUSの神経毒性に与える影響に関する検討2022

    • 著者名/発表者名
      岸野祐也、松川浩二、松本大成、宮崎良太、若林朋子、野中隆、亀谷富由樹、長谷川成人、橋本唯史、岩坪威
    • 学会等名
      第41回日本認知症学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi