昨年度までに、鼻腔炎症の急性期には、髄膜、嗅球におけるサイトカイン、ケモカイン発現が増加し、嗅球に炎症細胞が浸潤することを見出した。嗅球に浸潤する免疫細胞は、末梢血から血管を介して脳実質に浸潤するのではないかと考え、免疫細胞が血管に接着し遊走するのを阻害することを試みた。マウスに鼻腔炎症を起こした後、細胞接着因子に対する抗体、ケモカインの中和抗体などを腹腔に投与し、一定時間経過後に嗅球への免疫細胞の浸潤をフローサイトメトリーにより調べた。その結果、単球、好中球の浸潤はほとんど阻害されなかった。この結果から、嗅球に浸潤する単球及び好中球は末梢血ではなく、頭蓋骨髄に由来するのではないかと考えた。そこでまず、頭蓋骨髄の性質を理解するため、頭蓋骨髄の細胞組成をフローサイトメトリーにより調べ、長官骨骨髄の細胞組成と比較することを試みた。その結果、組成が異なることを示唆するデータが得られた。次に、鼻腔炎症により頭蓋骨髄のサイトカイン微小環境が変化し、細胞組成が変わり、特に単球、好中球が骨髄から髄膜へ、髄膜から脳実質へと遊走するのではないかと考えた。そのため、鼻腔炎症後の頭蓋骨髄の細胞組成をフローサイトメトリーで比較すること、頭蓋骨髄を採取しタンパク質を抽出し、そこに含まれるサイトカイン、ケモカイン量をELISA法により測定することを計画した。本年度は、組織からのタンパク抽出、タンパク量の定量、組織抽出液を使用したELISA法の技術を確立した。来年度以降に、頭蓋骨髄を用いた解析を行う予定である。
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