本研究は、鼻腔の炎症がどのような機構で嗅球に伝播されるのかを明らかにすることを目的とした。8週齢の雄マウスの両側鼻腔に細菌の内毒素であるリポ多糖(LPS)を投与した後、髄膜及び嗅球の組織学的解析と遺伝子発現解析を行った。LPS投与12時間以内に髄膜に免疫細胞が集積し炎症性サイトカインの発現が増加した。免疫細胞は嗅球の外側表層に浸潤し炎症性サイトカインを発現した。続いてミクログリアが活性化し抗炎症性サイトカインを発現した。以上より、鼻腔炎症の急性期に髄膜免疫系の活性化と免疫細胞の脳内浸潤が起こり嗅球は炎症性に傾くが、ミクログリアが抗炎症性サイトカインを発現して炎症収束に寄与すると考えられた。
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