• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

慢性胃粘膜感染したピロリ菌が分泌する外膜小胞による神経炎症の制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 21K07287
研究機関近畿大学

研究代表者

朴 雅美  近畿大学, 医学部, 講師 (70469245)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードLC-MS / ミクログリア / 炎症 / 外膜小胞
研究実績の概要

これまでの結果から、ピロリ菌(HP)が産生する外膜小胞(OMV)が血行性に全身を巡ること、また老齢のマウスでは血液脳関門が弱くなっておりHP-OMVが脳へと移行しうることが分かった。脳へ入ったHP-OMVはミクログリア活性化を主体とした炎症を起こしていることを示唆するデータも得ている。そこで、HP-OMVのうちでどういった成分が炎症に働くかを明らかにするため、HP-OMVのタンパク質をLC-MSによって解析した。その結果、病原性因子とされているneutrophil-activating protein, TNF-a-inducing protein, ureaseなどが検出された。
ミクログリアでのin vitroの実験では、HP-OMVを熱や界面活性剤で破壊したものを暴露するとインタクトなものに比べて5~10倍NFkBシグナルの活性化が強く起こること、IL-6やIL-1bなどのサイトカインのmRNAレベルが100倍以上に増加することなどが分かり、HP-OMVに内包される成分が炎症を強く引き起こすことが分かった。
また、HP除菌による影響を検討するためHP感染3ヶ月後の野生型(WT)とADマウスに抗菌薬2種とプロトンポンプ阻害薬を7日間投与し除菌した。その後さらに3ヶ月間飼育した後、マウスから血液、胃、脳を回収した。胃の免疫染色で除菌が100%成功していることが確認できた。脳の炎症をミクログリア活性化を指標に免疫染色で調べた。その結果、除菌の有無で差がないことが分かった。これまでの感染実験の結果から、感染後3ヶ月がミクログリア活性化はピークとなり、10ヶ月ではむしろ弱くなっていくことが分かっているため、非除菌群では感染期間が6ヶ月と長期になるためこの方法では除菌の影響を検討することに問題があることが考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Exploring the Role of Platelets in Virus-Induced Inflammatory Demyelinating Disease and Myocarditis2024

    • 著者名/発表者名
      Ahmad Ijaz、Omura Seiichi、Sato Fumitaka、Park Ah-Mee、Khadka Sundar、Gavins Felicity N. E.、Tanaka Hiroki、Kimura Motoko Y.、Tsunoda Ikuo
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 25 ページ: 3460~3460

    • DOI

      10.3390/ijms25063460

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Anti-Glycolipid Antibody Examination in Five EAE Models and Theiler’s Virus Model of Multiple Sclerosis: Detection of Anti-GM1, GM3, GM4, and Sulfatide Antibodies in Relapsing-Remitting EAE2023

    • 著者名/発表者名
      Moriguchi Kota、Nakamura Yumina、Park Ah-Mee、Sato Fumitaka、Kuwahara Motoi、Khadka Sundar、Omura Seiichi、Ahmad Ijaz、Kusunoki Susumu、Tsunoda Ikuo
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 ページ: 12937~12937

    • DOI

      10.3390/ijms241612937

    • 査読あり
  • [学会発表] ピロリ菌感染はアルツハイマー型認知症モデルマウス脳の免疫遺伝子発現を増加:ピロリ菌OMV誘導性サイトカイン産生の関与2023

    • 著者名/発表者名
      朴雅美、尾村誠一、佐藤文孝、角田郁生
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] コロナ禍でのマスク使用実態と使用後の付着菌類の同定2023

    • 著者名/発表者名
      朴雅美、スンダル・カドカ、佐藤文孝、尾村誠一、角田郁生
    • 学会等名
      日本化学会秋季事業 第13回 CSJ化学フェスタ
    • 招待講演
  • [学会発表] 免疫の立場からMSの病態にせまる2023

    • 著者名/発表者名
      角田郁生、中村優美和、森口幸太、城玲央奈、朴雅美、Ijaz Ahmad、Sundar Khadka、Cong Thanh Nguyen、尾村誠一、佐藤文孝
    • 学会等名
      神経免疫学会
    • 招待講演
  • [学会発表] IgA抗体欠損は実験的自己免疫性脳脊髄炎を軽減させる2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤文孝、城玲央奈、森口幸太、コン・タン・グエン、イジャーズ・エフマド、尾村誠一、朴雅美、安達貴弘、角田郁生
    • 学会等名
      神経免疫学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi