腱板断裂患者の痛みに関わる神経系の機能変化(疼痛感作)について、そのメカニズムを知るために動物実験および臨床試験を行った。動物モデルでは腱板断裂サイズが大きいと強い痛みを生じることが示されたが、小さな断裂でも腱板の変性によって疼痛が増加し、局所の神経成長因子(NGF)によって引き起こされた神経ペプチド(CGRP )の発現亢進がその一機序と考えられた。臨床試験では、腱板断裂患者の局所および遠隔部位における痛覚過敏が安静時痛の強さと関係していたが、動作時痛や夜間痛とは関係せず、その関与は限定的であった。精神心理的要因などを含めて、さらに多面的に評価することが必要であると考えた。
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