研究課題/領域番号 |
21K07298
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
土井 宏 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10326035)
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研究分担者 |
竹内 英之 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30362213)
田中 章景 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30378012)
石川 太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (50547916)
國井 美紗子 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (80725200)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CACNA1G / 脊髄小脳変性症 / 光遺伝学 |
研究実績の概要 |
申請者らは研究対象としてきた常染色体優性脊髄小脳失調症(SCA)大家系において、新型DNAシーケンサーを用いて低電位活性化型のT型電位依存性カルシウムチャネル(VGCC)の一種であるCaV3.1をコードするCACNA1Gのミスセンスバリアント、p.Arg1715His(R1715H) を同定した。単一アミノ酸のミスセンスバリアントであるR1715Hにより実際に神経変性が惹起されるかは不明であり、申請者らはその証明には動物モデルの作成が必須であると考え、R1715Hと同等のR1723HバリアントをCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集により導入したノックインマウス(Cacna1g_R1723H_KIマウス)を作成した。これまでに申請者らは構造モデリング、ヒト病理検体解析、培養細胞実験を継続するとともにCacna1g_R1723H_KIマウスの多面的解析を行い、このバリアントによるタンパク質凝集性には変化がないこと、行動解析において患者と同様の緩徐進行性の失調症状を示すこと、プルキンエ細胞(PC)の進行性変性を呈すること、PCおよび下オリーブ核神経細胞がカルシウム電流異常を含む電気生理学的異常を呈することを示し、SCA42の表現型を良好に再現するモデルを確立してきた。本研究ではCacna1g_R1723H_KIマウスにT型VGCC修飾薬の投与を行い、その効果を表現型解析、病理学的解析、RNA発現解析など多面的に検証することにより、新たな疾患修飾治療法を開発し疾患克服への道筋をつけること、また光遺伝学的手法を用いて神経変性の病態基盤をin vivoのレベルで解明することを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は下記のような計画のもと、おおむね順調に進展している。 ①Cacna1g_R1723H_KIマウスにおけるVGCC機能修飾薬の治療効果の検討:疾患発症機序がgain-of-toxic-functionであるとの立場からはT型VGCC阻害薬で治療効果を検討している。現時点で50週齢まで野生型、ヘテロおよびホモノックインマウスにT型VGCC阻害薬を経口投与を終えRotarodテストで失調改善効果を認めているため、順調に進行している。 ②Cacna1g_R1723H_KIマウスのRNA発現解析:50週齢の野生型、ヘテロおよびホモノックインマウスのRNA解析を行い、現在、病的な発現変化を検討している段階である。 ③Cacna1g_R1723H_KIマウスのin vivo PCにおける電気生理学的解析と治療効果の検証:チャネルロドプシン2を用いた光遺伝学を応用し、青色光照射によりPCが選択的に発火するトランスジェニックマウス(Ai32×L7-Creマウス)を本研究の対象となるCacna1g_R1723H_KIマウスと交配しており、順調に進行している。 ④Cacna1g_R1723H_KIマウスの下オリーブ小脳ループ回路の電気生理学的解析:上述③のモデルを確立後、PCからのin vivo記録を行うことにより、PC自体の活動パターンだけでなく、登上線維の活動に由来するPCの複雑スパイクの抽出解析を通して、下オリーブ核の活動パターンを把握する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は各研究項目について下記の様に推進していく方針である。 ①Cacna1g_R1723H_KIマウスにおけるVGCC機能修飾薬の治療効果の検討:T型VGCC阻害薬で治療効果を表現型だけでなく、病理学的に検討していく方針である。 ②Cacna1g_R1723H_KIマウスのRNA発現解析:50週齢の野生型、ヘテロおよびホモノックインマウスのRNA解析で検出されたmRNAの発現変化を定量PCR法を用いて、15週、30週齢のマウスで検討していく予定である。 ③Cacna1g_R1723H_KIマウスのin vivo PCにおける電気生理学的解析と治療効果の検証および④Cacna1g_R1723H_KIマウスの下オリーブ小脳ループ回路の電気生理学的解析:Ai32×L7-CreマウスとCacna1g_R1723H_KIマウスの交配は順調に進んでいるため、2022年度はin vivo解析系の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は①Cacna1g_R1723H_KIマウスにおけるVGCC機能修飾薬の治療効果の検討、②Cacna1g_R1723H_KIマウスのRNA発現解析、③Cacna1g_R1723H_KIマウスのin vivo PCにおける電気生理学的解析と治療効果の検証、④Cacna1g_R1723H_KIマウスの下オリーブ小脳ループ回路の電気生理学的解析、を行っておりおおむね順調に進捗している。しかしマウス管理費が想定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度以降①、③、④の進捗に伴いマウス管理費の増大が見込まれるため、当該費用を使用する予定である。
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