研究課題/領域番号 |
21K07300
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
中川 敬介 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 客員研究員 (10751787)
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研究分担者 |
高松 聖仁 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 客員准教授 (30295688)
上村 卓也 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 客員研究員 (10597321)
横井 卓哉 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 客員研究員 (90711820)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 有痛性断端神経腫 / 人工神経 / Capping / キャッピング |
研究実績の概要 |
本年度は、キャッピングに使用する人工神経の「形状」と「構成素材」の最適化を検討すべく、新たにポリ乳酸・ポリカプロラクトン共重合体で構成された人工神経(以下PLA/PCL人工神経)を用いたキャッピングを行い疼痛抑制効果について検討した。方法は8週齢ラットの左坐骨神経(直径1.5mm)を大腿中央部で15mm切除した。PLA/PCL人工神経(内径2mm、長さ6mm)を用いて、人工神経の両端が開放されているものを開存型、片端をヒートプレスし盲端にしたものを盲端型とし、それぞれの形状の人工神経に切断した坐骨神経の近位神経断端を2mm引き込みキャッピングした群を開存群、盲端群、キャッピングしない群を未治療群とした。疼痛の指標であるautotomy scoreを経時的に測定し、12週後に神経断端の縦断切片で組織学的評価を行った。軸索の評価として抗NFP抗体を用いた免疫染色を、瘢痕組織の評価としてMasson Trichrome染色を行った。その結果、12週後では人工神経は肉眼的に開存型、盲端型ともに管腔構造が維持されていた。autotomy scoreは未治療群に比べ盲端群で、統計学的に有意に疼痛が軽減されていた。組織学的検討では、開存群、盲端群、いずれにおいても再生軸索は人工神経内で収束し、断端神経腫は形成されていなかった。瘢痕形成については、未治療群において、神経周囲・神経内でも膠原線維が著明に増殖していたのに対し、開存群、盲端群では再生軸索が人工神経によって保護され、神経周囲・神経内の膠原線維の増殖は未治療群に比べ明らかに抑制されていた。これまでの研究を通じて、人工神経の「形状」は人工神経遠位部の狭窄・閉塞を回避し遠位端からの瘢痕組織の侵入を抑制できる盲端型が、「構成素材」は神経が伸張・収束するまで管腔構造が長期間保持される生体吸収性素材がより適していることがわかった。
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