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2023 年度 実績報告書

家族性パーキンソン病PARK17由来iPS細胞を用いた根幹病態の解明と治療薬開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K07302
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

岡野 ジェイムス洋尚  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90338020)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードパーキンソン病 / VPS35 / レトロマー / 新規オートファジー / αシヌクレイン
研究実績の概要

我々はレトロマーの構成因子VPS35のD620N変異によって発症する家族性パーキンソン病PARK17患者由来 iPS細胞由来ドパミンニューロンにおける細胞の脆弱性やαシヌクレインの蓄積を報告したが、ゲノムワイド関連解析などの遺伝学的解析でパーキンソン病と密接な関係が示されているオートファジー障害については詳細な病態が解明されていなかった。本研究によりD620N変異細胞では健常群と比較して細胞が飢餓状態時にRab9を含む小胞との相互作用が優位に低下し、リソソームとの共局在が減少することがわかった。また、PARK17の患者iPS細胞から分化誘導したニューロンにおいてATG5をノックダウンしconventionalオートファジーを特異的に抑制したところ、疾患群特異的にオートファジーが低下し、エストロゲンを添加すると回復することがわかった。さらに疾患群においてRab9とATG5の両方をノックダウンすると、エストロゲン添加によるオートファジーの回復が阻害されることがわかった。これらの結果から、VPS35遺伝子変異により新規オートファジーが抑制され、エストロゲンはRab9依存的に新規オートファジーを促進することが示された。さらに、エストロゲンの投与が細胞脆弱性およびαシヌクレイン蓄積を改善することが示された。これらのエストロゲンの作用は、古典的オートファジーに関与するATG5の発現抑制には影響されない一方、Rab9やWipi3といった新規オートファジーに必須のタンパク質の発現抑制により改善効果が失われることがわかった。エストロゲンにはパーキンソン病の発症・進行抑止作用があることが複数の臨床研究で明らかにされているが、その機序はこれまで解明されていなかった。本研究の成果は、パーキンソン病におけるエストロゲンの疾患修飾作用における新規オートファジーの関与を証明するものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] The impact of VPS35 D620N mutation on alternative autophagy and its reversal by estrogen in Parkinson's disease2024

    • 著者名/発表者名
      Shiraishi T, Bono K, Hiraki H, Manome Y, Oka H, Iguchi Y, Okano HJ.
    • 雑誌名

      Cellular and Molecular Life Sciences

      巻: 81 ページ: 103

    • DOI

      10.1007/s00018-024-05123-4.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Interactive effect of orthostatic hypotension on gray matter atrophy associated with hyposmia and RBD in de novo Parkinson's disease2023

    • 著者名/発表者名
      Shiraishi T, Yoshimaru D, Umehara T, Ozawa M, Omoto S, Okumura M, Kokubu T, Takahashi J, Sato T, Onda A, Komatsu T, Sakai K, Mitsumura H, Murakami H, Okano HJ, Iguchi Y.
    • 雑誌名

      Journal of Neurology

      巻: 270 ページ: 5924-5934

    • DOI

      10.1007/s00415-023-11934-5.

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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