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2021 年度 実施状況報告書

μおよびδオピオイド受容体二量体のがん疼痛維持機構における役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K07305
研究機関関西医科大学

研究代表者

松村 伸治  関西医科大学, 医学部, 准教授 (70276393)

研究分担者 寿野 良二  関西医科大学, 医学部, 講師 (60447521)
西田 和彦  関西医科大学, 医学部, 助教 (80448026)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードオピオイド / ヘテロマー / 免疫組織化学 / 脊髄 / 後根神経節 / がん性疼痛
研究実績の概要

日本では年間約75万人が新たにがんと診断され、約36万人ががんで死亡する。がん疼痛は患者の50%以上に存在するといわれており、患者のQOL (quality of life)にとってがん疼痛の緩和が必要不可欠な臨床課題である。がん疼痛にはオピオイドが疼痛緩和に用いられる。モルヒネを含むμ-オピオイド受容体(MOR)アゴニストは、重度の急性および慢性疼痛を治療するための主要な鎮痛薬の選択肢である。それらは中枢神経系(CNS)全体で発現するMORに結合するため、中枢副作用(せん妄、呼吸抑制、痛覚過敏)、薬物依存症、および鎮痛耐性(薬物が効かなくなる)が発現する。従って、用量を制限する必要があり臨床使用における実質的な障壁となる。オピオイドは、鎮痛耐性や副作用出現の際に他の麻薬に切り替えるオピオイドスイッチングが推奨されており、耐性や副作用を起こしにくいオピオイド受容体リガンドが求められている。オピオイド受容体をはじめとするGタンパク質共役型受容体(GPCR)はリガンドごとに細胞内シグナルが異なり、耐性や副作用の少ないバイアスドリガンドの探索が行われるようになった。耐性の一因として、鎮痛作用のないβアレスチンシグナル伝達によってMORが細胞内へ移行し分解され、受容体の局在変化が引き起こされる。さらに、MORが他のGPCRとヘテロマー複合体を形成し、機能的相互作用を介して、従来のオピオイド鎮痛薬よりも副作用が少ない疼痛抑制の創薬の標的として注目されている。それらの中で、MORとδオピオイド受容体(DOR)の二量体(μ/δ二量体)作動薬の、CYM51010が我々の開発したがん性疼痛モデルに効果があることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

(1)μ/δ二量体特異的認識抗体作製では、μオピオイド受容体とδオピオイド受容体の抗体作製を行っている。
(2)μ/δ二量体の局在分布をがん疼痛の発生から完成・維持まで追跡では、市販の抗MOR抗体を用いてがんモデルのDRGで受容体の発現が増加していることを明らかにした。
(3)μ/δ二量体の個体レベルでの機能解析では、がん疼痛モデルマウスのin vivo標本を用い、一次感覚性ニューロンの活動をDRGで、脊髄における痛み信号の入力・統合を脊髄後角神経で記録できるように、カルシウムプローブ試薬の脊髄内へのロード方法を確立した。

今後の研究の推進方策

(1)μ/δ二量体特異的認識抗体作製では、μオピオイド受容体とδオピオイド受容体の抗体作製を行い、PLA法によりヘテロマー形成の有無を検討する準備をしている。その結果によりμ/δ二量体特異的認識抗体作製に取り掛かる。
(2)μ/δ二量体の局在分布をがん疼痛の発生から完成・維持まで追跡では、(1)で作製した抗体を用いてPLA法によりμ/δ二量体の局在分布を感痛みの一次感覚神経の細胞体が存在する後根神経節とその中継場所である脊髄後角とで明らかにする。
(3)μ/δ二量体の個体レベルでの機能解析では、in vivo標本を用いてがん性疼痛の神経活動についての解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

申請額から大幅に減額されていたために、当初予定していた、遺伝子改変マウスの購入を再考しなければいけない状態となり、次年度予算と合わせての購入を検討中のため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Involvement of Brn3a-positive spinal dorsal horn neurons in the transmission of visceral pain in inflammatory bowel disease model mice2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Nishida, Shinji Matsumura, Takuya Kobayashi
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: 0906 ページ: 0-51

    • DOI

      10.1101/2021.09.06.457875

  • [学会発表] デキストラン硫酸ナトリウム誘導性大腸炎モデルを用いた脊髄後角における内臓痛伝達の解析2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Nishida (西田 和彦), Shinji Matsumura (松村 伸治), Takuya Kobayashi(小林 拓也)
    • 学会等名
      日本神経科学会

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公開日: 2022-12-28  

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