研究課題/領域番号 |
21K07314
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古賀 道子 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (30617220)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | COVID-19 / 慢性炎症 / 肥満症 / HIV感染症 |
研究実績の概要 |
COVID-19の免疫学的機序の解明は、この3年間で徐々に進んでいる。 一方、慢性炎症を根底にもつ肥満者やHIV感染者の免疫学的動態については、ワクチン接種と感染既往によるハイブリッド免疫の知見の集積や、オミクロン株の出現に伴うウイルス側の変化により、時系列で見ても多因子の影響を受け、報告も多く見られてきた。 2022年度の新型コロナ感染症は、前年度に引き続き、オミクロン株の流行が起こり、継続して対象者の検体採取を遂行する一方で、医療施策の変更対応と感染者への対応で、我々医療者は臨床に従事する時間を引き続き多く必要とされた。 その中で、力士クラスターでのオミクロン株再感染に関する臨床データや感染ウイルスの検証をまとめた論文を作成し発表することができた。加えて、HIV感染者がコロナ感染罹患時のmicrobiome時系列変化も解析し、論文を作成し投稿した。 初年度に、得られた検体のうち、力士クラスターから1名の肥満者と1名のHIV感染者の検体を選び出し、感染前、感染時、回復期の3phaseのPBMCからsingle cell解析を施行した。現在解析中であるが、この結果から、慢性炎症状態下での新型コロナウイルス感染を契機とした、炎症の惹起から沈静の過程を可視化することを期待している。 力士集団及びHIV感染者での血液検体の定期的な収集は継続しており、加えて感染既往歴の把握も並行して進んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19診療に多くの時間と労力を要し、研究遂行に支障が出たが、COVID-19に罹患した肥満者やHIV感染者など対象者の経時的な検体採取が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
COVID-19に罹患した肥満者クラスター(約30名)、HIV感染者(約10名)、対象として基礎疾患のない非肥満者(約10名)を設定し基礎疾患・肥満度・慢性炎症 度・COVID-19重症度・SARS-CoV2変異株や抗体価を把握するとともに、COVID-19罹患者の炎症状態と免疫反応との動態変化を経時的に明らかにする。 加えて、single cell解析を進め、さらに対象者数を増やし検証を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の第7波から第8波まで、感染者数の増加により、臨床に従事する時間を多く必要とされ、基礎的研究の遂行が進まず、実験消耗品の購入が進 まなかったが、次年度は使用予定である。
|