研究課題/領域番号 |
21K07325
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
小飼 貴彦 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (40711693)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 家族性多結節性甲状腺腫 / サイログロブリン遺伝子 |
研究実績の概要 |
当研究者らのグループは、日本で最大規模の甲状腺専門病院である隈病院と共同で、家族性発症の多結節性甲状腺腫 (multinodular goiter, MNG)について、生殖細胞系列の遺伝子型に関するデータを集積しており、最近、遺伝子パネル検査により、予想外にサイログロブリン遺伝子(TG) のヘテロ接合性バリアントの頻度が高い(約33%) ことを見出した。一般的にTG 異常症はバイアレリック(ホモ接合型あるいは複合ヘテロ接合型)変異で“甲状腺腫を伴う甲状腺機能低下症”を発症し、TG のモノアレリック(ヘテロ接合型)変異の病的意義についての報告はなく、変異部位の違いによる病的効果の多様性も想定される。そこで本研究では、TG バリアントを伴う家族性多結節性甲状腺腫の成因の解明を、甲状腺組織内の2次的な腫瘍関連遺伝子異常の検索及び細胞実験による当該バリアントの病原性評価により試みることとした。さらに散発性MNG における TG バリアントの関与についても検討する予定とした。
今年度は、予備実験で設定した遺伝子パネル検査を利用し、生殖細胞系列遺伝子バリアントについて、32例の家族性甲状腺腫症例の解析を行った。さらに、体細胞バリアント検出用の遺伝子パネル検査を新たにデザインし、家族性甲状腺腫症例の甲状腺腫組織4検体を検索し、MNG の原因遺伝子の一つであるKEAP1 の生殖細胞系列バリアントを伴う症例において、ヘテロ接合性喪失 (LOH) をきたしていることを見出した。TG バリアントの機能解析実験については、ミュータジェネシスによる変異体作成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画(1)生殖細胞系列バリアントの NGS によるスクリーニング:概要で記載したとおり、甲状腺腫関連遺伝子のパネル検査を行い、生殖細胞系列バリアントの検索を行った。 実験計画(2)体細胞バリアントの検出:新たに体細胞バリアント検索用に FFPE 検体に対応した遺伝子パネル検査を作成し、そのパフォーマンスについて確認した。 実験計画(3)TG バリアントの安定発現細胞株樹立と小胞体ストレスの評価:すでに検出されている病的バリアントの一部について、TG発現ベクターの変異体を作製した。
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今後の研究の推進方策 |
実験計画(1)生殖細胞系列バリアントの NGS によるスクリーニング、および、実験計画(2)体細胞バリアントの検出:引き続き、症例数を増やす予定である。 実験計画(3)TG バリアントの安定発現細胞株樹立と小胞体ストレスの評価:引き続き、多数あるバリアントの発現ベクターを作成予定である。 実験計画(4)散発性MNG の甲状腺組織における体細胞バリアントの検索:体細胞バリアント検索用の遺伝子パネルがデザインされたため、本年度は散発性のびまん性甲状腺腫組織における体細胞バリアントについても検索を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、コロナ渦の影響で学会参加や研究協力者らとの会合が全てオンラインとなったため、当初計上された旅費への支出がなかったため、次年度への繰越が生じた。繰越分については、今後も高騰が懸念される遺伝子検査試薬など、消耗品に充当される予定である。
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