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2023 年度 実施状況報告書

「特発性」とは呼ばせない:小径線維ニューロパチーを至適治療に導く診断アルゴリズム

研究課題

研究課題/領域番号 21K07341
研究機関熊本大学

研究代表者

大林 光念  熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90361899)

研究分担者 増田 曜章  大分大学, 医学部, 講師 (50464459)
田崎 雅義  熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (50613402)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード小径線維ニューロパチー
研究実績の概要

本研究は、2021年度~2024年度までの4 年間で、これまで一貫して小径線維ニューロパチーの研究を継続してきた申請者が、その集大成として人工知能の導入や新規生化学的指標の探索・同定を行い、最終的に「『特発性』と診断せざるを得ない症例を極力減らし、大多数の患者を至適治療に導く小径線維ニューロパチーの診断アルゴリズム作成」を目指すものである。本研究の3年目にあたる2023年度には、前年度同様各種小径線維ニューロパチー患者、および健常者と判定された被験者双方の生検皮膚組織に関する蛍光鏡見所見を全て画像としてAIに記憶させ、神経密度や三次元的な神経分岐角度の比較を基に、AI による迅速かつ高精度な小径線維ニューロパチーの病理診断システムの構築に向けた取り組みを行った。また、こちらも前年度と同様、本研究のもう一つの目標であるサルコイドーシスや線維筋痛症をターゲットとした、小径線維ニューロパチーにおける新規生化学的指標の探索についても検討した。本検討は、特発性小径線維ニューロパチーとの診断に留まっている患者を対象に、従来からサルコイドーシスのバイオマーカーとされてきた血清ACE値や血清可溶性IL-2レセプター値の他、血漿エクソソーム由来の各種miRNA発現量や島領域グルタミン酸濃度のチェックを行い、これら各々の値と我々がこれまでに確立した生理学的診断システム(Aδ線維特異的痛覚閾値+レーザードプラ皮膚血流検査による血管運動神経(=C線維)機能の評価)で得られた小径線維の障害度との相関を検討するものであり、次年度も症例数を増やし、データの蓄積、ならびに臨床的有用性の検証を行っていく。加えて2023年度は、各種小径線維ニューロパチーに共通する発症機序をターゲットとした治療法の考案と、その治療効果を最終評価するサロゲートマーカーの確立に向けても動き出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度、2022年度も含め、ここまでの3年間については、計画していた研究を概ね順調に遂行できている。

今後の研究の推進方策

蛍光鏡見所見を画像としてAIに記憶させた小径線維ニューロパチー例は、2022年度までに全研究期間での見込み症例数900例の約3/4にあたる675例にまで増やすことができた。今後は、この検討を見込み症例数900例に届くまで継続し、結果をもとにシステム化したうえで、AI診断率80-95%を目標値に設定してその有用性を検討していく。さらに、本研究のもう一つの目標であるサルコイドーシスや線維筋痛症をターゲットとした、小径線維ニューロパチーにおける新規生化学的指標の探索についても継続して行い、そのデータについての臨床的有用性が確認できれば、AI診断システムに加え活かしていく。また、最終的には、計画最終年度である2024年度に、各種小径線維ニューロパチーに共通する発症機序をターゲットとした治療法の考案と、その治療効果を最終評価するサロゲートマーカーの確立に迫りたい。

次年度使用額が生じた理由

前年度から継続した研究が多かったことから、ここまでの研究段階においては、手持ちの消耗品を活用することで研究代表者分の物品購入費が少なくて済んだことが、次年度使用額としての繰越金が生じた理由である。ただし次年度は、1. 研究が新たなステップに入り、ある程度まとまった新規消耗品費を必要となること、2. 計画最終年度となり、研究成果の報告をするための参加学会も増え、昨今値上がりの激しい論文投稿料も必要となること、などから、前年度からの繰り越し分は当該年度交付分と合わせ、必ず使用することとなる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)

  • [雑誌論文] Origin of transthyretin in cerebral amyloid angiopathy2024

    • 著者名/発表者名
      Nomura T, Misumi Y, Tasaki M, Obayashi K, Yamashita T, Ando Y, Ueda M
    • 雑誌名

      JAMA Neurology

      巻: 81 ページ: 421-423

    • DOI

      10.1001/jamaneurol.2023.5762

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Correlation between a commercial electrophysiological test of sudomotor function and intraepidermal nerve fiber density in hereditary transthyretin2024

    • 著者名/発表者名
      Masuda T, Misumi Y, Nomura T, Yamakawa S, Tasaki M, Obayashi K, Ando Y, Ueda M
    • 雑誌名

      Muscle Nerve

      巻: 69 ページ: 99-102

    • DOI

      10.1002/mus.28005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Cerebrospinal fluid B-cell activating factor levels as a novel biomarker in patients with neurosarcoidosis2023

    • 著者名/発表者名
      Sumi K, Masuda T, Kimura N, Akiyoshi Y, Obayashi K, Matsubara E
    • 雑誌名

      J Neurol Sci

      巻: 449 ページ: E-Pub

    • DOI

      10.1016/j.jns.2023.120668

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Binding of serum-derived amyloid-associated proteins to amyloid fibrils2023

    • 著者名/発表者名
      Misumi Y, Tabata Y, Tasaki M, Obayashi K, Yamakawa S, Nomura T, Ueda M
    • 雑誌名

      Amyloid

      巻: 30 ページ: 67-73

    • DOI

      10.1080/13506129.2022.2120800

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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