研究課題/領域番号 |
21K07357
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
森永 紀 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (60465771)
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研究分担者 |
牧野 利明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80326561)
小川 鶴洋 第一薬科大学, 薬学部, 助教 (40781646)
大磯 茂 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (40513106)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 偽アルドステロン症 / 漢方薬 / 甘草 / 硫酸抱合体 / モノクローナル抗体 / ELISA |
研究実績の概要 |
漢方薬が引き起こす副作用のうち、比較的頻度が高く重篤なものとして、偽アルドステロン症がある。我々は、その真の原因物質として、甘草に含まれるグリチルリチン酸 (GL) の代謝産物である18β-glycyrrhetyl-3-O-sulfate (GA3S) の可能性を見出し、GA3Sが生体内に現れやすい個体差が副作用の発症しやすさと関連があると考えている。 そこで、GA3Sに特異的に結合できるモノクローナル抗体を調製し、抗原抗体反応を利用した免疫化学的検出法を原理とする高感度な定量方法を開発することを目的に研究を遂行した。具体的には、抗GA3S-MAbを作製し、enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) および定量的イムノクロマトグラフィー法 (ICA) による GA3S の定量的測定法を開発する。 GA3Sは低分子化合物であり、単独では免疫原性を示さないことから、keyhole limpet hemocyanin (KLH) などのキャリア蛋白との複合体を調製し、免疫原とした。また、ELISAやICAの固相化抗原として、GA3Sとヒト血清アルブミン (HSA)との複合体も同様に調製した。 調製したGA3S-KLHをBALB/cマウス腹腔内に2週ごと12回の投与を行い、免疫感作を行った。 GA3S-HSAおよび GA3S に対する血中抗体価の十分な上昇を確認することが出来たので、脾臓を摘出し、ミエローマ細胞と細胞融合を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞融合を行い、現在は、抗GA3S-MAb産生ハイブリドーマ細胞株を複数樹立を目指している段階である。 当初の予定は、スクリーニングとクローニングを実施完了済みだったが、細胞融合に使用するミエローマ細胞の状態が悪く、細胞融合実施が数か月ずれ込んでしまったため、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
1.抗GA3S-MAbの選別:得られた複数ロットのうち、GA3S分子内における抗GA3S-MAbの認識部位を生物物理学的相互作用解析により確定する。それにより、GA3S分子内に最低限、2箇所の異なる認識部位を持つ抗体2種を選別する。 2.競合的ELISAおよび定量的ICAによる濃度測定法の検討:抗GA3S-MAbを用いた簡便かつ高感度な濃度測定法として、競合的ELISAおよび定量的ICAによる GA3S 濃度測定法への応用について検討する。 3.GAを投与したEHBR血漿中のGA3S濃度の測定:Mrp2を遺伝的に欠損するラットであるEHBRにGAを投与し、血中および尿中に現れる複数のGL代謝産物の存在下、GA3S の濃度をELISAおよびICAで測定できるか検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は細胞融合後のスクリーニングやクローニングを予定していたが実行できなかった。そのために、次年度は、抗体精製カラムや新しいミエローマ細胞の購入に使用する計画があり、25万円ほどを予定している。
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