研究課題/領域番号 |
21K07364
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 浩靖 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00631201)
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研究分担者 |
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20332736)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自己抗体 / 脂質代謝 / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
全国の医療機関から依頼された脂質異常症例検体を用いて、脂質代謝関連分子に対する自己抗体の存在を検索した。原因として想定された脂質代謝関連分子を抗原とする自己抗体が検出されない検体もあったものの、SLEと診断された14歳の高中性脂肪血症症例の治療前血清で抗GPIHBP1自己抗体価が上昇しており、グルココルチコイドと各種免疫抑制剤を用いた治療後に自己抗体価の減少と高中性脂肪血症の改善が認められ、抗GPIHBP1自己抗体による自己免疫性高中性脂肪血症と診断することができた。この症例は2022年に国内学会での報告を予定している。
脂質代謝関連分子の自己抗体の意義の検討については、男性安定狭心症患者を対象として、抗apo B-100自己抗体をhome-made ELISA法にて測定した。抗原にはapo B-100分子のLDL粒子外側に表出している領域にある2つのペプチド(p45, p210)とその酸化型ペプチドを用いた。抗apo B-100自己抗体は、冠動脈病変のプラークの体積率と有意な負の相関を示し、スタチン非服用患者群ではこの自己抗体価はプラーク体積率だけでなく、プラーク不安定性の指標とも負の相関を示していた。従って、抗apoB-100自己抗体の測定は非侵襲的に冠動脈プラークの安定性の予測マーカーとなることが考えられた。これはJournal of atherosclerosis and Thrombosisに投稿.受理された。
現在は、中性脂肪代謝に関わる分子を対象とした自己抗体の新たな検出法、ELISAを用いた多数検体の解析を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの蔓延により、新たな臨床検体を得ることが難しい状況にある。しかし、これまでの臨床検体を用いて、新たな脂質代謝関連分子の自己抗体について検討することにより、研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
全国から依頼された臨床症例について脂質代謝関連分子の自己抗体の有無、その活性について検討を続けるとともに、ELISA等の方法を用いて、健常人、糖尿病、動脈硬化疾患等の多数検体の自己抗体価と臨床所見との関連の検討を行なっていく。
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