研究課題/領域番号 |
21K07365
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
山本 昌弘 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50346392)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 椎体骨折 / 微細構造 / 大腿骨近位部 |
研究実績の概要 |
申請者は2型糖尿病患者が「骨密度が高くても骨折しやすい」ことを統計学的に立証し、「骨の質の低下」が骨脆弱性の病因であることを見いだした。本研究では、サルコペニア肥満に着想を得て、転倒要因となる立位姿勢の前傾化と関係する脊柱起立筋群が脂肪化して筋量が喪失する「サルコペニア脂肪筋」化し、椎体を支持する筋力低下により「椎体骨微細構造の粗造化が促進」され、骨折リスクが増加すると想起した。糖代謝障害環境下の代謝異常と関連する虚血応答とその調節因子に着目し、脂肪化筋喪失や微細構造劣化のような骨密度に現れない2型糖尿病の骨脆弱性の病態形成に対する低酸素ストレスの関与を明らかにすることを目的に研究を計画した。 本年度の研究では、骨の構造劣化について検証を行った。臨床研究に遂行に必要な男女各300名超の臨床情報、腹部CT画像および血液・尿検体を有する構築済みデータベースから、大腿骨近位部の骨密度画像を用いて大腿骨近位部の骨構造を解析した。解析画像から得た構造指標をデータベースと結合し、これまでの研究で蓄積してきた臨床データや構造解析指標との関連を検証した。椎体骨折者では大腿骨近位部の有意な構造的劣化が存在していること確認した。 低酸素ストレス応答と骨構造との関連を計画していたが、本研究の検体測定連携協力者である当大学附属病院検査部の研究員がコロナウイルス感染症関連の検体測定業務に専従せざるを得ない状況にあり、構造劣化寄与因子の探索・同定に関する研究計画の遅延が生じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)日常診療内で撮影された骨密度画像を二次利用し、新たに大腿骨近位部の構造指標の計測データを得た。 2)骨粗鬆症の発症機序が不明な2型糖尿病において、大腿骨近位部の骨構造異常と既存脆弱性骨折の有意な関連を見いだし、学会報告を行った。 3)本研究の検体測定連携協力者である当大学附属病院検査部の研究員がコロナウイルス感染症関連の検体測定業務に専従せざるを得ない状況にあり、低酸素ストレス応答に起因する構造劣化寄与因子の探索・同定に関する研究計画の遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
1)対照群として非糖尿病者において同様な検討を行い、非糖尿病者との比較研究の方向へ研究方針の転換への準備を進める。 2)コロナウイルス感染症関連の検査需要減少が見込める感染状況となっており、検体測定の機会を待機する。 3)脂肪筋量計測を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
1)コロナウイルス感染症蔓延防止策として当該研究施設から、国内学会、国際学会への現地参加が認められず、研究に必要な計測方法樹立に関する情報収集をWeb参加で行ったため。2)試料となる臨床画像の活用時において、データ様式変換等の追加的な費用が発生しなかったため。3)本研究の検体測定連携協力者である当大学附属病院検査部の研究員がコロナウイルス感染症関連の検体測定業務に専従し、検体測定関連費用が発生しなかったため 以上の助成金の残額は、2022年度において学会の現地参加と検体測定費用として使用し、研究遂行を加速する。
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