研究課題
申請者は2型糖尿病患者が「骨密度が高くても骨折しやすい」ことを統計学的に立証し、「骨の質の低下」が骨脆弱性の病因であることを見いだした。本研究では、サルコペニア肥満に着想を得て、転倒要因となる立位姿勢の維持に重要な脊柱起立筋群が椎体と大腿骨を相互に連結していることに着目し、筋量低下状態では椎体と大腿骨を支持する筋力低下により椎体骨や大腿骨の構造に由来する骨質低下により骨折リスクが同時多発的に発症する病態を想起した。糖代謝障害環境下の代謝異常と関連する虚血応答とその調節因子に着目し、この構造劣化のような骨密度に現れない2型糖尿病の骨脆弱性の病態形成に対する低酸素ストレスの関与を明らかにすることを目的に研究を計画した。男女各300名超の臨床情報、腹部CT画像および血液・尿検体を有する構築済みデータベースから、大腿骨近位部の骨密度画像を用いて三次元画像解析ソフトウエアにより生成した仮想大腿骨近位部の骨構造を解析し、高酸化ストレス状態と既存椎体骨折が有意に関連すること、またこの既存椎体骨折の存在者では大腿骨頚部外側部の骨密度非依存的構造的劣化が存在していること、およびサルコペニアの診断基準の要件である四肢骨格筋量の低下が大腿骨近位部の骨密度や骨構造劣化と有意に関連することを見いだした。原発性骨粗鬆症では骨粗鬆症性骨折は連鎖的に生じ、最終的に大腿骨近位部骨折に至る。原発性骨粗鬆症よりも骨折リスクの高い糖尿病患者において今回の研究により、大腿骨近位部骨折に先行する既存椎体骨折者では大腿骨の構造劣化型骨質低下と酸化ストレス亢進の共存があり、骨質劣化型骨粗鬆症の病態形成の関与が考えられた。
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