研究実績の概要 |
前年度までの研究課題において、我々はIFNαで活性化されたCD169高発現マクロファージを対象としてマイクロアレイ解析を行い、複数の細胞外分泌因子の発現が特に高い傾向があることを見だした。その中でも発言量が比較的高く、がん細胞の増殖への関与が知られているCCL8とCXCL10のケモカインに着目した。過去に切除術が実施された大腸がん患者48例の凍結保存血清を対象として、リンパ節検体におけるリンパ節マクロファージのCD169発現量と、患者血清中のCCL8、CXCL10の濃度を測定した。リンパ節マクロファージのCD169発現については免疫組織化学、血清中のケモカイン濃度についてはELISA法で測定した。リンパ節マクロファージのCD169発現量と、CCL8またはCXCL10濃度の相関についてPearsonの相関分析を行うと、相関係数はそれぞれ 0.26, 0.08 であり、p値(両側検定)はそれぞれ 0.078, 0.96 であった。リンパ節マクロファージのCCL8またはCXCL10発現を免疫組織化学的に解析すると、マクロファージにおける陽性率はそれぞれ約 30%, 約 10% であった。 今後は ISH 法を用いてこれらのケモカイン発現細胞を分析して、血清中ケモカイン濃度とリンパ節マクロファージとの関連を詳細に解析する予定である。
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