研究課題/領域番号 |
21K07370
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
大西 紘二 愛知医科大学, 医学部, 講師 (40613378)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リンパ節マクロファージ / 大腸がん / ケモカイン / CD169 |
研究実績の概要 |
本研究ではヒト末梢血単球由来1型IFN誘導CD169陽性マクロファージの網羅的遺伝子解析を実施し、各種の炎症性サイトカイン・ケモカイン等の発現増加を明らかにした。そのうちCCL8やCXCL10等の液性因子に着目し、大腸がん患者の血清CCL8, CXCL10濃度と摘出リンパ節のCD169陽性マクロファージの密度の相関解析をおこなった結果、血清CCL8濃度とリンパ節マクロファージのCD169発現には若干の正の相関関係が示唆されたが、統計学的有意差はみられなかった。大腸がん患者のCCL8, CXCL10はリンパ球や腫瘍細胞等からも産生されており、その他の炎症細胞による影響も大きいことが要因であると考えられた。 一方で、がんの種類によってリンパ節マクロファージのCD169発現の程度に差異がある可能性が示唆され、本研究課題の仮説を「腫瘍細胞に由来する何らかの液性因子(エクソソームを含む)がCD169発現を誘導している」と再設定し、その液性因子を同定するための研究戦略に組み直した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初想定していた仮説とはやや異なる結果が得られたため、仮説を再設定して計画を一部見直して新たな実験を計画したため、研究期間を延長する必要性があった。
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今後の研究の推進方策 |
各種セルラインを使用して、どのような種類の腫瘍細胞がマクロファージのCD169発現を強く誘導するのか液性因子を同定する。その液性因子がマクロファージの抗腫瘍機能を増強するのかどうかin vitro実験で確認したのち、臨床的予後因子に成り得るのかどうか統計学的解析をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定ではCD169陽性マクロファージで高発現している液性因子を同定して、血清中バイオマーカーとして有用な分子を同定する計画であったが、現時点では統計学的に有意な結果を得られていない。一方でがん種によってマクロファージのCD169発現の程度に差異がみられる可能性があるため、がん種の違いによるCD169発現の差異に着目して実験計画を変更することにした。これらの研究計画変更に伴い、研究期間を延長したため。
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