研究課題/領域番号 |
21K07372
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大石 充 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50335345)
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研究分担者 |
窪薗 琢郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00598013)
川添 晋 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (00810201)
牧迫 飛雄馬 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70510303)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | AI解析 / 口腔フレイル / 身体的フレイル / 精神的フレイル / 社会的フレイル |
研究実績の概要 |
AI解析を用いて、健康長寿・QOL保持を目指すフレイル制御のために、毎年1000名以上の高齢者を多職種・専門的・多面的に1300を超えるパラメーターで評価した高齢者コホート研究データ(垂水研究)を用いて、『フレイルを規定・悪化させている因子』、『身体的・精神的・社会的フレイルの相互作用』、『フレイル出現・悪化の予知・予防』というCQに対する答えを導き出す研究である。新型コロナ禍で垂水研究を十分に実施できない・中止せざるをえないという大きな状況変化が生じた。2023年5月には新型コロナが5類へと移行することにより、2023年度には十分な健診データを得ることができると考えている。2020年から2022年にかけて従来法による様々なフレイルに関する論文を発表してきた。それに加えて、2022年度はAIデータ解析システムをしっかりと構築することを優先することにした。専門的・多面的に評価したできるだけ多くのデータを入力として、身体的・精神的・社会的フレイル相互作用(フレイルネットワーク)をLAMP法や関連因子との紐づけ解析などを組み合わせながら、AI(機械学習・ニューラルネットワーク)解析で探索・同定し、相互作用や独立性およびフレイル発症・悪化予測因子、フレイルの医療経済に与える影響、フレイル予後悪化・発症予測因子を同定することが本研究の趣旨である。これらのデータ解析は項目が多彩であり、まずは少ない項目で確実なデータ解析ができるシステムを構築することが必要であり、我々が持っている特定健診データを用いて高血圧発症予測解析を行うこととした。通常の解析法で80%弱、AI解析(ランダムフォレストなど)で85%程度の予測能を有したが、ヒューマノーム研究所との共同研究で97%のAUCを得ることができた。この方法は現在特許申請手続き中であるが、この方法を応用して本研究のデータ解析をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響により、一般市民が集まっての健診事業ができなくなり、データベースの基となる”垂水研究”でのデータ収集が2020年および2021年は2割程度、2022年で4割程度となってしまった。2023年度は100%データ収集が可能になると予想をしているので、これと2019年との比較による解析になると考えている。これまでのデータを用いた従来法によるデータ解析によりフレイルに関する発表を数多く行ってきた。またデータ収集が滞っていた2年間にAI解析技術の修練とデータ解析法の改善(2年間比較となるため)を行った。フレイルは身体・精神・社会に加えて口腔機能など多彩であり、データパラメーターが非常に多いので、まず特定健診データを用いた高血圧発症をモデルとしてAI解析を行い、AUC80%台まで精度を上げている。現在、ヒューマノーム研究所との共同研究で高血圧発症予測精度を97%まで上げることに成功し、この技術を本科研のフレイル相互作用及びフレイル発症予測に応用したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年は十分なデータ収集ができるように行政(垂水市)と何度も協議をし、広報および啓発活動を行っている。5類移行後の7月より健診・データ回収を行い、年明けよりデータ解析を行う。3年ぶりの本格的健診再開となるために参加者の減少や出足の悪さが予想される。例年よりも早い段階からの広報はもちろんのこと、SNSを使った広報やYouTubeを使ったイメージ戦略なども同時に行っている。さらに期間延長も視野に入れた追加日程や場所の確保および人員の確保を行っている。 また、データ収集後の速やかなデータ解析が必須である。新型コロナ禍の間もこの点は十分に改良を重ねており、健診実施日の翌日にはデータ解析ができる環境が整備されている。 前述の予測精度を向上させたAI解析技術は現在特許申請の手続きを行っている。この技術をフレイルの複合的な関わり合いの解析や進展予測に応用するために、症例数は少ないものの2020年・2021年・2022年のデータを用いてAI解析を試みる。この段階で様々なバグに対応した後に、2023年度と2019年度の比較をして最終目的の成果を上げたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、データ収集が困難だったため、次年度(2023年度)にデータを収集するための必要経費に使用する予定である。
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