研究実績の概要 |
昨年度までの末梢血幹細胞動員を行うドナーにおけるMMP9の発現解析はヒト検体を用いた研究であったが、研究課題であるCXCR2リガンドの発現とCXCR2-MMP9のシグナル伝達によるMMP9発現の関連をリアルタイムで解析するため、2022年度はマウスを用いて末梢血幹細胞動員のモデルを作成した。G-CSF投与後にCXCR2リガンドの経時間的な発現変化について解析した。G-CSF投与により、末梢血のLineage(-)/c-kit(+)/Sca1(+)(LSK)細胞は徐々に増加し、5日目には48.5個/5000個ビーズとなりヒトと同様に経時間的な末梢血幹細胞動員が認められた。マウスCXCR2リガンドは、CXCL1, 2, 3, 5, 7, 15の6つが知られておりrealtime PCR法で解析した。その結果、G-CSF投与5日目に投与前と比べて有意と思われる2倍以上の発現の変化を認めたのは、CXCR1, 2, 3, 15の4つであり、CXCL5, 7にはほとんど変化は見られず、G-CSG投与による末梢血幹細胞動員においてはその役割は否定的だった。最も発現の変化が認められたのはCXCL15であり、投与前に約37倍に増加した。今までの末梢血幹細胞動員に重要とされていたCXCL2は8.1倍、CXCL1は3.6倍の増加であった。CXCL2, 3はG-CSF投与1日目で4.5倍ほどに発現増加の後、3日目には2倍程度まで減じ、その後増加に転じた。CXCL15は日毎に発現量が増した。
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