研究課題/領域番号 |
21K07393
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
土橋 智弥 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (20828488)
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研究分担者 |
鈴木 崇之 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40816691)
末永 智浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70433365)
垣本 信幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90614412)
熊谷 健 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60316114)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヨウ素 / 早産児 / 母乳中ヨウ素 |
研究実績の概要 |
早産児の尿中ヨウ素濃度と甲状腺機能、および母乳中ヨウ素濃度との関係に関して評価を行った。期間中に52人の早産児が本研究に登録された。児は在胎週数31週5日(30週2日-33週6日)、出生体重1677.5g(1275.3g-1931.5gであった(Median, IQR)。完全母乳栄養児は16人、完全人工栄養児は11人であった。 ・早産児のヨウ素摂取量と甲状腺機能:早産児の尿中ヨウ素濃度は214ug/L (135.3-656.5ug/L)であった。尿中ヨウ素濃度とFT4、TSHとの間に相関はなかった。対象集団の中で甲状腺機能異常を呈した症例はなく、入院期間中に甲状腺ホルモン治療を要した症例はなかった。 ・母乳中ヨウ素濃度と母の尿中ヨウ素濃度:母の尿中ヨウ素濃度は116.5ug/L (52-161 ug/L)、同日の母乳中ヨウ素濃度は94ug/L (35.4-118.8ug/L)であった。尿中ヨウ素濃度と母乳中ヨウ素濃度間には弱い相関性を認めた(R2=0.3726)。 ・母乳摂取と早産児ヨウ素摂取量との関係:完全人工栄養児と母乳栄養児を比較すると、尿中ヨウ素濃度は128ug/L (92-145ug/L)と287ug/L (178-9190ug/L) p<0.0001となり、完全人工栄養児では有意に尿中ヨウ素濃度が低い結果となった。また、完全人工栄養児11例中4例が尿中ヨウ素濃度<100ug/Lであり、ヨウ素欠乏であった。完全人工栄養児はより早産であり、より低体重であり、早産の程度が重度になるほど尿中ヨウ素濃度が低かった。今回の研究では甲状腺機能異常症例がなく、早産児におけるヨウ素の耐容上限量の評価は出来なかったが、データの少ない日本人における母乳ヨウ素濃度を測定でき、また早産児におけるヨウ素摂取不足の傾向があることが分かった。
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