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2022 年度 実施状況報告書

新規に同定されたマイオカインを介した動脈硬化、NASH抑制効果の検証

研究課題

研究課題/領域番号 21K07395
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

大西 俊一郎  国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (60894805)

研究分担者 竹本 稔  国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (60447307)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードマイオカイン / NASH
研究実績の概要

生活習慣の欧米化に伴い、虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患の罹患率は増え続けており、 常に我が国の死因の上位を占めている。動脈硬化は血管壁における慢性炎症に伴い、脂質の 異常蓄積によって生じる。さらに脂質の肝臓への蓄積する病態に、非アルコール性脂肪肝が あり、時に炎症(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH))が慢性化し、肝硬変、肝がんを生じる。脂肪肝からNASHまでを含む一連の肝疾患(NAFLD)の罹患者は1,000万人以上であると推定されており、動脈硬化とともに、その予防法や治療法の開発は喫緊の課題である。本研究の目的は我々が同定した骨格筋衛生細胞から分泌される因子 R3h domain containing like (R3hdml) の脂肪肝・脂肪肝炎や動脈硬化に対する効果を検証することである。近年、骨格筋から 分布される因子はマイオカインと称され、全身の代謝に影響を及ぼすことが明らかになっている。R3hdmlは骨格筋の発達時や再生時に発現が増加し、筋衛星細胞の分化・増殖を促す因子として我々が同定して。さらに、R3hdmlの欠損により肝臓における脂質代謝に異常をきたすこと発見した。本研究を通じて脂質代謝関連疾患である、脂肪肝・脂肪肝炎や動脈硬化 に対するR3hdmlの新たな機能を明らかにし、R3hdmlを用いた脂肪肝・脂肪肝炎や動脈硬化の治療法開発へとつなげる基盤研究としたい。
今年度は健常者96名における血中R3hdmlタンパク濃度ならびに抗R3hdml抗体濃度と肝機能との関連に関し検討を行い、ともに肝機能と正に相関することを明らかにした。今後、これらの結果に基づいて、R3hdmlが脂肪肝を増悪させるメカニズムを解析する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の研究ではR3hdmlノックアウトマウスと野生型マウスの肝臓におけるメタボローム解析を行った結果、R3hdmlの欠損に伴い、肝臓においてGlucose metabolism、Gluconeogenesis、PIP3 activates AKT signalingなどが低下し、MET activates PTK2 signalingが増加することが明らかとなった。今後はこれらのシグナルやそれを構成する遺伝子群を解析することで、NASH、NALFDのメカニズム解析につながることが期待される。さらに本年度の研究では同意取得を得た97名の健常者の血中R3hdmlタンパク濃度をELISA法で、抗R3hdml抗体濃度をAlphaLISA法で測定した。その結果、抗R3hdml抗体高値は肝障害や脂質代謝異常と相関することを明らかにした。R3hdml抗体によりR3hdmlの生理学的機能が阻害されることにより肝障害が進行する可能性があり、現在さらなる研究を進めている。以上より研究はおおむね順調に進んでいると判断する。

今後の研究の推進方策

本研究の目的はR3hdmlを将来、動脈硬化やNASHの新たな治療に結び付けるべく① 動脈硬化やNASHモデルマウスに対するR3hdmlによる治療介入とそのメカニズム解析と、② R3hdmlを実臨床に結び付けるために血液中R3hdml濃度を測定しその臨床的意義を明らかにすることである。その目的のために① 動脈硬化モデルやNASHマウスに対するR3hdmlによる治療介入効果とそのメカニズム解析、② 糖尿病患者における血液中R3hdml濃度と抗R3hdmk抗体濃度を測定しその臨床的意義を明らかにすること、特に動脈硬化、NASHとの関連を明らかにしてゆきたい。③ 化合物スクリーニングを行い薬理学的にR3hdmlの発現を促す手法を模索することを予定している。

次年度使用額が生じた理由

血中R3dmlタンパクならびにR3hdml抗体濃度を測定するための検体収集に時間がかかり、次年度に持ち越しとした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Association of high proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 antibody level with poor prognosis in patients with diabetes: a prospective study2023

    • 著者名/発表者名
      Yamagata Hiroki、Hayashi Aiko、Yoshida Yoich、Koshizaka Masaya、Onishi Shunichiro、Yoshida Tomohiko、Hiwasa Takaki、Takemoto Minoru
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 5391

    • DOI

      10.1038/s41598-023-32644-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A case of doxorubicin and cyclophosphamide therapy-induced type 1 diabetes: a case report2023

    • 著者名/発表者名
      Miyabayashi Makoto、Onishi Shunichiro、Yoshida Tomohiko、Takemoto Minoru
    • 雑誌名

      Journal of Medical Case Reports

      巻: 17 ページ: 26

    • DOI

      10.1186/s13256-023-03755-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Incidence and Risk Factors of Hyponatremia in Pulmonary Tuberculosis2022

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Tomohiko、Masuyama Hidenori、Yamagata Hiroki、Miyabayashi Makoto、Onishi Shunichiro、Inaba Yosuke、Takemoto Minoru
    • 雑誌名

      Journal of the Endocrine Society

      巻: 6 ページ: NA

    • DOI

      10.1210/jendso/bvac130

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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