研究課題/領域番号 |
21K07399
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
福島 健 東邦大学, 薬学部, 教授 (00272485)
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研究分担者 |
辻野 尚久 東邦大学, 医学部, 客員准教授 (00459778)
田形 弘実 東邦大学, 医学部, 助教 (50888542)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 精神病発症危険状態 / At-risk mental state / ARMS |
研究実績の概要 |
精神病発症危険状態(At-risk mental state, ARMS)の方への適切な早期治療介入は、精神病発症後の症状緩和や予後の改善に有効であるが、ARMSにおける生体分子濃度の変化などの生化学的、臨床化学的な情報は未だ少ない現状である。これまでにARMSと健常人の血清中分子濃度について、高速液体クロマトグラフィー-高分解能質量分析計(LC-HRMS)を活用して、網羅的な解析(メタボロミクス)を行った結果、カルボキシ基を有し、水溶性が高い生体内有機酸が、ARMSと健常人との判別に寄与している傾向があった。そこで、本研究ではカルボン酸用新規誘導体化試薬CIM-C2-NH2を創製し(2022年度に論文受理)、2022年度は下記の研究内容を検討した。 1. CIM-C2-NH2を用いる生体内有機酸の定量法を、血清メタボロミクスに適用させるため、高速液体クロマトグラフィー- 高分解能質量分析計(LC-HRMS)の分析条件の最適化検討を行った。 2. 近年、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸が、精神疾患においても注目されるようになった。そこで、本研究においても腸内細菌で産生される短鎖脂肪酸(プロピオン酸、イソ酪酸)の分離分析について検討した。 3. 口頭での説明により、インフォームドコンセントを取得した健常者79名、ARMS 51名、初発発症患者15名の方から採取した血清を用いて、上記のLC-HRMSを用いて血清中有機酸を測定中である。 4. ARMS血清中で減少していることが分かった物質として、乳酸やD-セリンがある。これらの物質が多く含まれている食材、果実やそのジュースを購入し、その中の含量を調べた結果、リンゴジュースや酒類に、有機酸が豊富に含まれていることが分かったが、酒類にはL-乳酸のみではなく、D-乳酸も含まれていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、コロナ禍での感染防止対策から徐々に緩和されてきたものの、コロナ禍の最中に処理しきれなかった事務的な業務に時間を取られていたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、健常者、ARMS、FEPの3群で多変量解析を進め、ARMSまたはFEPにおける特徴的な血清中分子変動を見出すことを目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度もコロナ禍での様々な影響による研究活動進行の遅れがあったため、次年度使用額が生じたが、その額は少額であるので、今年度と同様に、次年度も研究遂行に必要となる消耗品の購入に使用することで問題はない。
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