研究課題/領域番号 |
21K07401
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
廣野 玄 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (80386268)
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研究分担者 |
大越 章吾 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (70231199)
長谷川 勝彦 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (60328870)
河野 正己 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20170201)
石川 博 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (30089784)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 睡眠時無呼吸 / 間欠的低酸素血症 / 持続陽圧呼吸療法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を合併した閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)患者において、OSAに有効な持続陽圧呼吸療法(CPAP)による慢性間欠的低酸素血症(CIH)の改善がNAFLDから非アルコール性脂肪肝炎(NASH)への肝線維化進展の予防ないし治療法として提案できるか否かを検証することである。すでに申請者らは、同患者を対象にした先行研究(H28年基盤研究C No.16K09564)において前向きコホート研究を行い、良好なCPAPを行ってCIHを改善させることによりNAFLDからNASHへの進展を予防する効果があることを見出した(Hirono H et.al, World J Clin Cases 6,5112-25,2021.)。以上より、今回、CIHモデルマウスを用い、CIHによるNAFLDの肝線維化の進展機序を解明し、CIHの改善がNAFLD/NASHへ及ぼす影響を動物実験にて検証する。令和3年9月にマウス用CIH装置・チャンバーを購入。同年10月にC57BL/6Jマウス8週齢オスの6匹を購入し、3匹ずつコントロール群とNASH群の2群に分けた。コントロール群は通常の飼料(No.D09100304)とし、NAFLD/NASH群は高カロリー食(No.D09100310)として水分とともに自由に摂取ができるようした。また、飼育室のライトによる明暗は12時間サイクルとし、それぞれのマウスは1週間に一度体重測定を行った。同年10月以降も毎月マウスを6匹ずつ購入して同様に飼育を行い、令和4年3月までに計36匹を購入、飼育してきた。飼育後20週時点にてマウスをそれぞれサクリファイスを行い、血清や肝臓を採取した。血清は生化学検査用とし、肝臓については病理標本用とRNA採取用とし、現在それぞれデータを採取・解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス用CIH装置・チャンバーはすでに購入済で設定も完了し、いつでも使える状態である。具体的な設定については、CIH装置によってチャンバー内に窒素ガスを大量に流入させ、6分間かけてチャンバー内酸素濃度を21%から10%に下げ、その後窒素ガスを空気に換えて流入させ、6分間かけてチャンバー内酸素濃度を10%から21%にもどす。これを繰り返す。以上のことは実証ずみである。 次に、マウスを用いたNAFLD/NASHモデルマウスを作製するため、令和3年10月よりC57BL/6Jを毎月6匹ずつ購入し、コントロール群とNAFLD/NASH群にそれぞれ3匹ずつ分けて現在まで飼育を継続している。令和3年10月購入のマウスと11月購入のマウスは既に飼育20週時点でサクリファイスを完了し、それぞれ血清と肝臓は採取済である。血清は生化学検査を行っており、肝臓については組織標本としてHE染色と鍍銀染色を行い、RNA検査として肝臓を液体窒素に凍結保存している。現在、それぞれのマウスの肝臓からRNAを精製中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後については、コントロール群とNAFLD/NASH群のマウスのそれぞれを飼育後20~26週時よりOSAを模したCIH装置・チャンバーにて飼育を開始する予定である。CIHの飼育環境は一日のうち飼育室内明期の12時間中に連続して行うこととし、これを4週間続ける予定である。CIH環境として4週間飼育した後にサクリファイスを行い、血清と肝臓を採取し、CIHによる肝臓への影響を検証する。さらにその後の予定としては、4週間のCIH後に通常状態に戻し、4週間経過した時のマウスの肝臓の炎症所見、線維化などの変化を検証する予定としている。これはNAFLD/NASHを合併したOSA患者のCPAPによるCIH改善状態を模している。 しかし、令和3年10月・11月購入のNAFLD/NASH群マウスでは、飼育20週時点での肝組織標本ではNAFLDの単純性脂肪肝は確認できたものの、炎症細胞浸潤や肝線維化などNASHの組織像は確認できなかった。そのため、令和3年12月購入マウスについてはもう少し飼育期間を延ばし、飼育26週時点にサクリファイスを行って肝線維化の程度を確認する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
外注に依頼した検査や解析結果が届いてから比較検討するため実験に要する消耗品の購入が少なく、繰越金が生じた。しかし、今現在の実験は順調に進行しているため、本年度以降に実験に必要な試薬・消耗品を購入予定である。
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