研究課題/領域番号 |
21K07405
|
研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
炬口 真理子 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (10379430)
|
研究分担者 |
角山 圭一 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (70454767)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 多発性骨髄腫 / レナリドミド / バイオマーカー / セレブロン / ユビキチン結合酵素 |
研究実績の概要 |
生体内の蛋白質品質管理機構の一つにユビキチン-プロテアソーム系がある。ユビキチン化にはユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)及びユビキチンリガーゼ(E3)の3つの酵素が必要であり、これらは蛋白質固有である。 多発性骨髄腫(MM)患者の初回標準治療は、ダラツムマブにプロテアソーム阻害剤のボルテゾミブか免疫調整薬(IMiDs)のレナリドミドの何れかを併用するが、両者を選択するためのバイオマーカーはない。我々はこれまで、ボルテゾミブのバイオマーカーとしてユビキチン結合酵素(E2)であるUbcH8を報告した。今回、レナリドミドのバイオマーカーを探索し、その有用性を検証することを目的とした。 2021年度(初年度)、MM細胞株においてレナリドミドは、E3複合体CRL4(DDB1-Cul4-Roc1-CRBN)のセレブロン(CRBN)に結合して基質蛋白Ikaros及びAiolosのプロテアソームでの分解を誘導することを実験にて確認した。次にIkaros、Aiolosの特異的E2をTrypsin Resistant Tandem Ubiquitin-binding Entity法を用いて探索したが同定できなかった。 2022年度、新たにE2 scan Kit(Ubiquigent社)を用いてE2探索を試みた。これは34種類のE2酵素の中から特定のE3及び基質と反応するE2を同定するものである。E3複合体CRL4と基質Ikarosを34種のE2酵素とそれぞれ反応させウエスタンブロット法によりIkarosの特異的E2を調べたところ、数種 (UBE2D1、2D2、2D3、2E1、2D1など)のE2と反応し、非特異反応を除外することができなかった。また再現性もとれていない。Aiolosについても同様の結果であった。今年度の実験においても目的E2が同定されていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、初年度に免疫調整薬(IMiDs)が結合するユビキチンリガーゼ(E3)であるセレブロンの特異的ユビキチン結合酵素(E2)を同定することを目指していたが、未だに同定できていない。そのため相当の遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
・レナリドミドによりプロテアソームで分解誘導されるIkarosのE2を10種類程度に絞って、個々にE1とE3複合体を反応させてユビキチン化反応を起こさせて、Ikarosの特異的E2を同定する。 ・IkarosのE2が同定された場合、次に、同定されたE2がAiolosにおいてもユビキチン化を誘導するかどうかを調べ、目的のE2であることを確認する。 ・E2同定後、レナリドミド濃度によるE2発現量の変化を調べて、バイオマーカーとして有用であるかを検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由 実験が遅れているため 使用計画 研究費の大部分はE2同定のための解析試薬および物品の購入に使用する予定である。
|