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2023 年度 実施状況報告書

白血病細胞に対するステロイド様抗がん剤抵抗性の機序解明から個別化診断への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K07406
研究機関産業医科大学

研究代表者

中西 司  産業医科大学, 大学病院, 助教 (00772609)

研究分担者 吉田 安宏  産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
塚田 順一  産業医科大学, 大学病院, 准教授 (20227367)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードATL / 薬剤耐性 / ステロイド / RNASeq
研究実績の概要

安定した耐性株の樹立を確認したのち、今年度はステロイド骨格トリテルペンの標的遺伝子群・及び薬剤耐性に関わる遺伝子群の解析を、対照群細胞株と薬剤耐性細胞株の2群についてRNASeqを行った。耐性株は最も安定して誘導できているMT-1細胞に絞って薬剤耐性に関する分子群の情報を網羅的に収集した。薬剤耐性株は、2 μMで処理後、3日目に回収したものを用い、RNAを調整した。対処群にはエタノール処理群を用いた。
対照群に対して、トリテルペン処理群で発現が増加した遺伝子が332で、減少した遺伝子が384であった。それらの結果をもとにKEGG Pathway 解析を行った。ヒトの疾患に関わるものが最も多く変化しており、予想通りpathway in cancerやdrug resistance経路で大きな変化が認められた。またenvironmental information processingに関するものも影響を受けていた。Biological processでは、response to stimulusでの変化が大きく、具体的にはMAPKシグナル経路やPI3K-Aktシグナル経路で増強されていた。
個々の分子を見てみると、PIK3-Rの発現上昇が認められていた。これは昨年報告したトリテルペンであるククルビタシンの標的タンパク酵素であるAktの上流分子であり、この点はとても興味深い。またその上流で機能するFAKも発現上昇がみられている。この分子は、他のガンにおいて薬剤耐性獲得に関与することが報告されていることから、FAK-PI3K-Aktの経路を詳細に検討することは薬剤耐性獲得のメカニズムを知るうえでとても重要であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

RNASeqの結果をベースに、薬剤耐性遺伝子の解明を目指したが、データ解析に若干難航したため、最終的な分子の同定にまでは至らなかったため。

今後の研究の推進方策

昨年度に明らかになった薬剤耐性に関与するパスウェイを中心に阻害剤、siRNAシステムなどを用いて、更に標的分子を絞っていく計画である。

次年度使用額が生じた理由

RNASeq法により、薬剤耐性株で起きている遺伝子変化を追跡していたが、論文にまとめるにあたって、更に詳細に解析を進めるため年度をまたいで解析することとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Triterpenoid Antitumor Agents on ATL Cells and their Mechanism2023

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Yoshida
    • 学会等名
      The 19th Annual Congress of International Drug Discovery Science &Technology
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] MAPK inhibition synergizes with steroid structure cucurbitacin D-induced antitumor effects on adult T-cell leukemia cells2023

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Yoshida、Duo Wang
    • 学会等名
      第27回日本分子標的治療学会
  • [学会発表] オレアナン系およびウルサン系環式トリテルペンのミトコンドリア機能阻害を介したATL細胞に対する抗腫瘍効果2023

    • 著者名/発表者名
      吉田安宏,申梦月,王鐸,曾子丙
    • 学会等名
      日本生薬学会第69回年会

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公開日: 2024-12-25  

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