研究課題/領域番号 |
21K07410
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
冨山 誠彦 弘前大学, 医学研究科, 教授 (40311542)
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研究分担者 |
中村 崇志 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (00880014)
山田 順子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (30334965)
森 文秋 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (60200383)
西嶌 春生 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90858177)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遅発性ジスキネジア / パーキンソニズム / ダイノルフィン / エンケファリン / 淡蒼球内節 / 淡蒼球外節 |
研究実績の概要 |
研究1 雄ウイスターラット16匹にHalopreidol decanoate (HAL)筋注を3週間毎に12週間投与し、遅発性ジスキネジア(TD)モデルを作成し、口部の不随意運動と探索行動とパーキンソニズムを評価した。対照として8匹に生食を投与した。HAL群のうち、TDが顕著なもの(severe TD)7匹と軽微なもの(mild TD)9匹を分けて検討した。まず、これらのモデル動物の線条体を摘出し、ウエスタンブロット法でダイノルフィン(直接路マーカー)とエンケファリン(間接路マーカー)の発現量を調べた。HAL群では、不随意運動発現、探索行動の減少、運動能力の低下を認めた。HAL群ではダイノルフィン発現の低下を認め、severe TD群ではさらにエンケファリンの発現が低下していた。従来、TDモデルでは基底核運動回路の間接路の異常が指摘されてきたが、本結果は直接路の異常がTDで起こっている可能性を示した。
研究2 同様にラット16匹にHALを3週間毎に12週間投与し、遅発性ジスキネジア(TD)モデルを作成した。対照として8匹に生食を投与した。HAL群のうち、TDが顕著なもの(severe TD)9匹と軽微なもの(mild TD)7匹ができた。他の過活動性不随意運動と同様に、TDでも線条体投射神経細胞の神経終末の肥大が起こっているという仮説のもと、HAL群で淡蒼球内節及び淡蒼球外節の微細構造を電顕及び免疫電顕で検討している。まだ十分な解析が終わっていないが、淡蒼球内節における線条体直接路神経細胞の神経終末が肥大していることが推定される。この初見は、線条体直接路神経細胞からのGABA投射の過剰がTD発現に重要な役割を果たしていることを示している。この結果はTDの発現機序を明らかにする上で重要な情報といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、当初BAC(Bacterial artificial chromosome)遺伝子組換えマウス(D1R-tmtマウス及びD2R-eGFPマウス)を使用する予定でいた。しかし、現在D2R-eGFPマウスが入手困難となっており、通常のウイスターラットを用いて研究を進めている。直接路を形成する線条体投射神経細胞を標識することは、逆行性トレーサーを用いれば容易であるので、問題はない。以上のように、研究は問題なく進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度から引き続き淡蒼球内節及び外節の微細構造の検討を進めていく。さらには、予定通り直接路お呼び間接路を形成する線条体投射神経細胞の樹状突起上のスパインの形態検討を開始する予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため学会参加が制限されたため学会出張がなかったため旅費を使用しなかった。またコロナ対策のため学生助手に対し大学から謝金が支払われたため、科研費からの謝金支払いが不要になった。前述のようにBACマウスを購入しなかったため、逆行性トレーサーにて直接路神経細胞を標識する必要が出てきた。このトレーサー購入に使用する予定である。
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