研究課題
これまでに共にRNA結合蛋白であるFUSとTARDBPというALSの重要な二つの遺伝子の変異iPS細胞のゲノム編集ペアを活用し、細胞表現型として軸索分岐異常を発見し報告してきた。また独自の広流路マイクロ流体デバイスを用いた軸索束 (神経オルガノイド) により病態の鍵分子を自らの手で明らかにしてきた。本年度は自律神経・感覚神経への分化培養プロトコールを最適化し、マイクロ流体デバイス内での軸索束形成を確認した。マイクロ流体デバイスを用いて細胞体と軸索を分離して運動ニューロンとのAxon-seq比較解析を行い、ALSの病態で障害の少ないClusterB内でPHOX2B と同様の変動を呈する16 遺伝子を絞り込んだ。レンチウイルスベクターを用いたノックダウンによる軸索分岐・神経突起長計測などを行い、軸索における役割を解析中である。またin vivoの実験系としては、FUS変異ノックインマウスを樹立し、バッククロスの上、安定したコロニーを樹立した。神経筋接合部をプロテオミクスで解析し、新たな病態関連蛋白を見出すことができた。さらにΔFUSマウスをフランスから輸入し、ノックインマウスと比較解析を行い、共通する病態について解析を進めている。さらにFUS変異を持つ家族性ALSや孤発性ALS (自施設13例) の剖検脳を用いてALS病態における運動ニューロン変性との関連性について検討している。細胞および個体レベルの知見を積み重ねて、ALSの新規治療標的となりうる分子を同定していく。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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