研究課題/領域番号 |
21K07413
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
寺島 智也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40378485)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / グリア間ネットワーク / 反応性アストロサイト / ミクログリア / 標的化治療 / ドラッグデリバリーシステム / miRNA |
研究実績の概要 |
ALSマウス由来グリア細胞間の相互作用と関連遺伝子検索 出生後1日のG93ASOD1(ALSモデル)マウスおよび野生型マウス大脳より混合グリア培養を施行。初代培養アストロサイトおよびミクログリアを単離。(1)GM-CSFで培養したM1ミクログリアと共培養したアストロサイトを用いて遺伝子発現検索施行。(2)IL-1βで誘導した反応性アストロサイトとミクログリアを共培養にて、遺伝子発現検索を行った。結果、GM-CSFにて誘導したM1ミクログリアの刺激を受けたアストロサイトで、反応性アストロサイトに特徴的な遺伝子群の発現を認め、M1ミクログリアにより、反応性アストロサイトが誘導されることが実証された。また、反対にIL-1βにて誘導した反応性アストロサイトの刺激を受けたミクログリアは、M1ミクログリアに特徴的な遺伝子発現を認め、反応性アストロサイトにより、M1ミクログリアが誘導されることが実証された。これらの反応をALSモデルマウスおよび野生型マウスで比較検討すると、それぞれ反応性アストロサイトおよびM1ミクログリアを示す遺伝子発現量が高く、その誘導性が高いことが示された。
ALSマウス由来グリア細胞へのsiRNAの標的化輸送 ミクログリア標的ペプチド(MG1)およびアストロサイト標的ペプチド(AS1)での細胞標識について、ALSマウス由来の単離培養アストロサイトおよびミクログリアでの結合実験にて、その結合性を確認しており、ALSマウスにおいても、脊髄内でのアストロサイト、ミクログリアへの標的化を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、ALSモデルマウスおよび野生型マウスにおいて、細胞の単離を行い、遺伝子解析、細胞のviability解析を終え、新規、治療標的遺伝子の検索をすすめている。また、標的化ペプチドにおいても、病的な状態での標的細胞への結合性や組織親和性を確認できており、siRNAの標的化研究を進めるに至っており、当初の予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
ALSモデルマウスおよび野生型マウスにおいて、(1)GM-CSFで誘導したM1ミクログリア(2)IL-1βで誘導した反応性アストロサイト、それぞれより精製したmRNAは準備できており、mRNA array に提出予定である。また、細胞および組織への標的化を確認できたアストロサイトおよびミクログリアを標的とするペプチドを用いて、治療遺伝子(siRNA-TGFβ、siRNA-IL-1β)の合成を委託し、アストロサイト標的ペプチド(AS1)+siRNA-TGFβおよびミクログリア標的ペプチド(MG1)+siRNA-IL-1βの複合体を準備し、培養細胞およびALSモデルに投与し、その遺伝子発現抑制効果およびモデル動物での治療実験を進めていく予定である。また、mRNA arrayで同定された候補治療遺伝子についても同様の検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月-4月にかけて研究室の学内移動があり、研究を3月より一度休止して、次年度に入ってから再開する必要があったため、試薬代として計上していた経費を次年度持ち越しとしました。
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