①ALSマウス由来グリア細胞間の相互作用と関連遺伝子検索 生後1日のG93ASOD1(ALSモデル)マウスおよび野生型マウス大脳より得られた初代培養アストロサイトおよびミクログリアを用いて(1)GMCSF刺激M1ミクログリアとアストロサイトの共培養および(2)IL-1βで誘導した反応性アストロサイトとミクログリアの共培養にて遺伝子発現検索を行った。結果、GM-CSF誘導M1ミクログリアの刺激を受けたアストロサイトで、反応性アストロサイトに特徴的な遺伝子群の発現を認め、M1ミクログリアにより、反応性アストロサイトが誘導されることが実証された。また、反対にIL-1βにて誘導した反応性アストロサイトの刺激を受けたミクログリアは、M1ミクログリアに特徴的な遺伝子発現を認め、反応性アストロサイトにより、M1ミクログリアが誘導されることが実証された。また、ALSモデルマウスにおいて、反応性アストロサイトおよびM1ミクログリアを示す遺伝子発現量が高いことも示された。 ②ALSマウス由来グリア細胞へのsiRNAの標的化輸送 ミクログリア標的ペプチド(MG1)での細胞標識について、ALSマウス由来の単離培養ミクログリアでの結合実験にて、その結合性を確認し、ALSマウスにおいても、脊髄内でのミクログリアへの標的化を確認した。 ③ALSマウスへのミクログリア標的化siRNA-IL1β 投与における治療検討実験 ALSモデルマウス脳脊髄腔内にミクログリア標的化siRNA-IL1βを投与し、運動機能検査および生存曲線を調査し、その治療効果判定を行った。Rota-Rodテストおよびその他運動機能検査にて対照群に比し、進行遅延効果を示した。分子生物学的検討と組織学的検討を加えて、論文報告の準備を行っている。
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