研究課題
我々が樹立したヒト血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)構成内皮細胞株(TY10),血液神経関門(blood-nerve barrier: BNB)構成内皮細胞株,血液筋関門(blood-muscle barrier: BMB)構成内皮細胞株と自己免疫性神経疾患患者血清と血清から精製した免疫グロブリンG (immunoglobulin G: IgG)を用いた。2021年度は最近疾患概念として確立された自己免疫性神経疾患であるMOG抗体関連疾患患者IgGからBBB破綻を引き起こす自己抗体GRP78抗体を同定した.GRP78抗体がNF-κBシグナルを介してBBB透過性増加,接着因子発現増加,酸化ストレス増加を誘導することが明らかとなった.2022年度はMAGニューロパチーでのMAG抗体がBNB通過をきたす機序を解明した.MAGニューロパチー患者血清をヒトBNB in vitroモデル作用させると,BNB内皮細胞からのTNF-α発現増加がRNAシークエンス/パスウェイ解析,ハイコンテントイメージングで確認された.MAGニューロパチー患者の腓腹神経生検標本ではBNBを構成する神経内膜内微小血管のTNF-α発現増加が確認でき,内皮細胞に多数の小胞があることが確認でき,TNF-αを介した小胞介在性トランスサイトーシスの機序でMAG抗体がBNBを通過する機序が示された.2023年度は自己免疫性筋疾患で筋内小血管構成BMB内皮細胞や筋細胞に炎症を誘導する上流の因子であるTREM-1を同定した.RNAシークエンス/パスウェイ解析,ハイコンテントイメージングにより自己免疫性筋疾患の患者IgGがBMB内皮細胞のTREM-1発現の増強,筋生検標本で筋内鞘血管と筋細胞にTREM-1の高発現が明らかとなり,TNF-αを介し炎症を誘導することが示された.
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 3件)
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