研究課題/領域番号 |
21K07455
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
徳武 孝允 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00707838)
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研究分担者 |
池内 健 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20372469)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多系統萎縮症 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
多系統萎縮症は、α-シヌクレインからなる封入体(グリア細胞質内封入体)のオリゴデンドログリアにおける形成を特徴とする。発症早期での診断技術を確立し、病態進行を鋭敏に反映するバイオマーカーを確立することが喫緊の課題である。本研究では、多系統萎縮症における3つの病態:①α-シヌクレイン沈着、②オリゴデンドログリア障害、③神経変性に着目し、それぞれの病態を反映するバイオマーカーを確立することを目指している。 本年度は、多系統萎縮症患者で、神経変性マーカーであるNfLの解析を行った。脳脊髄液NfLの解析を行い、症状、症状進行速度などとの相関について検討した。正常対照群と比較して多系統萎縮症患者脳脊髄液で有意にNfLが高値であることが示された。またNfLと運動症状、認知機能などの症状との相関について検討では、有意な相関は得られていないが、運動症状の進行速度と脳脊髄液NfLが有意な相関を示した。 脳脊髄液NfLは、診断に有用だけではなく、症状進行を予測するマーカーになりうると考えられる。 またα-シヌクレイン、Aβ42,タウ、リン酸化タウといった既存の脳脊髄液バイオマーカーと臨床症状(運動障害、認知機能障害)の相関を検討した。運動障害と相関を認めなかったが、認知機能障害の重症度と脳脊髄液Aβ42相関を認め、MSAの認知機能障害の病態に関連している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載した予定にほぼ沿った形で研究が進行しているため
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今後の研究の推進方策 |
2021年での検討で、多系統萎縮症患者において正常対照と比較して、脳脊髄液中NfLが高値であることが示された。NfLと運動症状、認知機能などの症状との相関についての検討では、有意な相関は得られていないが、運動症状の進行速度と脳脊髄液NfLが有意な相関を示した。 今後さらに詳細に症状とNfLとの相関について検討する。またNfLとα-シヌクレインやそのほかの既存のバイオマーカーとの関連がみられるか解析を行う予定である。脳脊髄液NfLの検討と並行して、血液中のNfLの測定などを検討していく。今後、オリゴデンドログリア・オリゴデンドログリア前駆細胞の特異的マーカーの測定系の確立、測定を行う。またα-シヌクレインオリゴマーなどのα-シヌクレイン関連分子の測定系の確立を目指し、発症早期から病理変化を反映し,病態進行を鋭敏に反映するバイオマーカーの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会などで発表予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行のため、国際学会に参加ができず、国内学会もリモートでの参加が主体になっていた。また実験に必要な物品の購入の遅れなどがあり、次年度使用額が生じた。今後の使用計画としては、国際学会での発表のための経費や、2021年度に購入できなかった物品の購入に充てる予定である。
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