研究課題/領域番号 |
21K07456
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
瀧山 嘉久 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00245052)
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研究分担者 |
土屋 舞 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (30722615)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | HPDL / SPG83 / SPG80 / UBAP1 / knock-in mouse |
研究実績の概要 |
1.常染色体劣性遺伝性痙性対麻痺 (ARHSP) について欧米の研究者と共同研究を行い、4-hydroxyphenylpyruvate dioxygenase-like (HPDL) 遺伝子変異が遺伝性痙性対麻痺 (SPG83) をきたすことをはじめて論文報告を行なった (Brain 2021 Jun 22; 144 (5): 1422-1434)。本研究では、世界で25家系34名の患者 (JASPACに登録された日本人1家系1名の患者を含む) においてHPDL遺伝子の両側性アレル変異が認められた。SPG83の臨床像は、若年発症の純粋型HSPから幼児期発症の発達障害を呈する複合型HSPまで幅が広かった。本邦例の頭部MRIでは、延髄T2高信号と中小脳脚T2高信号が特徴的であった。分子遺伝学的には、HPDLのtruncating variantは他のvariantに比し、重症型である頻度が高かった。HPDLはミトコンドリアに局在して神経分化に関連することが判明した。 2.我々が欧米の研究者とはindependentに見出したSPG80 (ubiquitin associated protein 1: UBAP1) についてknock-in mouseの作成に成功した。我々のUBAP1 knock-in mouseの研究では、はじめてSPG80のモデル動物を作ることができたとともに、mouseの歩行はヒトと同様にspastic paraplegiaを呈することを示すことができた (論文投稿中)。 3.REEP2変異、Chediak-Higashi症候群、乳児期発症SPAST変異、SPG31について臨床像と分子遺伝学的特徴を明らかにして論文報告を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
遺伝性痙性対麻痺の新規原因遺伝子 (HPDL) をはじめて同定できた (SPG83) 点と、新たな研究課題としたUBAP1 (SPG80) のknock-in mouseの作成に成功した点から上記区分の判断理由とした。
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今後の研究の推進方策 |
常染色体優性遺伝性痙性対麻痺 (ADHSP)、常染色体劣性遺伝性痙性対麻痺 (ARHSP)、小児期発症孤発性痙性対麻痺 (de novo変異モデル) について、研究計画書に従って原因遺伝子の同定を進める。加えて、UBAP1 (SPG80) のknock-in mouseを用いて、治療法開発のために薬剤スクリーニングを行う予定である。
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