高齢化社会における重要な課題と言えます。我々は解糖系酵素欠損症つであるphosphoglycerate kinase(PGK)欠損症の研究からこの酵素異常症を有する方に若年 性PDを生じることを見出し、研究を続けてきました。これまでの研究から酵素活性を低下させたショウジョウバエにおいてパーキンソン病と共通する特徴を見出 すことができています。 本研究ではショウジョウバエモデルを用いてパーキンソン病の治療法の開発と診断技法の確立を目指しています。本研究ではこれまでにパーキンソン病患者におけるPGK活性を評価し、その活性が特に若年者において上昇していることを確認することができました。健常者 においても年齢を重ねるにつれてPGK活性は上昇する傾向にありますが、パーキンソン病患者ではより若年期に生じる傾向があります。この結果はこれまでの遺伝学的解析の結果から予想されたものとは異なっていましたが、PGK活性がパーキンソン病発症に直接関連していることを支持するものと理解しています。 本研究のもう一つの課題である、PGK抑圧ショウジョウバエモデルを用いた遺伝学的相互作用解析において、Pathway解析を用いて候補遺伝子を同定し、欠損系統との交配を通して相互作用の強い遺伝子を特定しました。これまでの検討の中で最も強い相互作用はsima(ショウジョウバエの低酸素誘導因子)に認められていました。この結果をもとに低酸素誘導を介したパーキンソン病治療という新しい治療戦略を持ってさらに研究を進めています。
|